2005/10/27

NEDOフィールドテスト事業の予算についての考察


今期のNEDOの太陽光発電フィールドテスト事業の後期の募集が近く締 め切られる。前期は平成17年3月28日〜5月16日に公募され、7月14日に決定されている。
   
さて、この前期のもので新規共同研究先 388箇所、17,104kWの うち最大のものはシャープが液晶をつくっている亀山工場に設置されるものである。
   
    http://www.nedo.go.jp/informations/koubo/170714_1/besshi1.pdf
   
    シャープ株式会社・株式会社シーエナジー 三重県シャープ株式会社 亀山工場効率向上追求型 5150kW
   
小年度前期で設置されるものの設備全体の約3分の1である。これがKw90万円とされるNEDO仕様の事業ならば、総事業費は45億円 である。その半額が公金から支出される。約22.5億円。 今期で終わる家庭用太陽光発電の補助事業(NEF担当)の平成17年度予算額 約26億円よりちょっと少ないがかなりの額である。
   
このNEF補助金予算22億円で設置される太陽光発電の設備容量は Kwあたり2万円の補助金であったので、この亀山工場に設置される補 助金だけでも適正に使われればそれだけで10万Kwの 設備となったはずである。ほぼ8倍の設備が同じ予算で国内に設置され たことだろう。このNEDO補助金の予算はは、来年度は既に概算で115億円が組まれている。因みに昨年度は50億円ほどだったと言う。

設備費として見るなら、個人が負担しなければならない額よりもずっと少ない金額で企業は設置できることになる。不思議だね。
   
さて、亀山工場分だけで10万kWであるから、これが総予算92億円なら何と46万kWの設備が国内に設置出来たことになる。ほぼ昨 年輸出に廻った38万kWの太陽電池が全て国内の家庭の屋根に設置出 来たことになる。
    
ただ 海外に輸出したほうが儲かるとなれば企業は日本市場へは出荷せず、当然海外市場へ販売を行うから、その全量が設置されるなどと言うことは無かっただろう が、少なくとも、国民一人当たりの設置量でドイツに抜かれると言うことなどは無かったことは確かだ。
   
さらに、他から聞いた話では、この企業に設置されたものなどは特別減価償却として税金の控除の対象となるということである。個人の場合はそうした特例措置 は無い。
   
何故にこれほど企業だけが優遇されるのだろうか?不思議な国である。さて、こうした問題についてちゃんと分析を行っているものがいないというのもこの国の 不幸だろう。

量産効果を狙うならそれこそ、金の出し方が下手である。同じ金額で8倍の設置量が稼げたはずである。私どもは既に工場の屋根に設置する事業を既に1999 年の11月には始めている。で、ここは家庭用太陽光発電設備の支援制度の資金で作っている。怪しからんというかもしれないが、それこそ、どれほど大変だっ たか・・・。その理由は工場設備の場合は1Kwhが15円ほどの電力契約である。そこを家庭用の伝統契約にするためにわざわざ別に契約できるように部屋を 別にして事務所を設けたのである。その為に余分なドアを付けねばならなかったのだ。

これがドイツの様な派生電力全量買い取り価格支援であれば、こんな馬鹿なことをする必要性は全く無かったと言うことだ。
   
このNEDOの支援事業には草の根支援と言う制度があって、NPOなどもその対象となっている。そして、本来ならこうした制度の問題点を指摘し、それに変 わる制度要求などをすべき(だと私は思うのだけれど・・・)多くの団体がその補助金を受けて設備を設置することだけを目的に活動しているものが多い。
   
これは殆んど、企業の設備の購入先を保証することだけが目的化している状態だ。本来は、この設備が効率よく、設置され、お金も有効に使われるべきなのだろ うが、そうした状態には無いのが現状なのだ。
   
※ 因みに、アジアでもお隣、韓国、中国などはドイツと同じ発電原価保証策と似た成果評価方式にしている。どちらが合理的かは子供でも分かるだろう。日本 の不幸は原子力に偏った電力政策と既得権益を侵さないでやらねばならないと言うことと、単年度予算の枠組みを変え得ない政治家と官僚の不作為によってこう した経済的にも不合理な形になっている。

一部でそうした動きがあるが、その論理的な構成がおかしくて普遍性を持たない制度であり、呆れるばかりである。
   
さて、ここまでは設置時における問題を見てきた。で、本当に大事なのはその成果である。太陽光発電設備が商品として売れて安くなればいいと考えている経産 官僚とそれに踊らされているNPOやモノが売れればいいだけの企業にとってはこうした問題が一番関心があるらしいけど、実はもっと重要な問題はここからで ある。

その重要な点とは、そこで生み出された電力にある。太陽電池が商品として売れることとそれが設置されて電力を生み出すことは別問題である。もっとも重要な のは、そこからどれほどの電力が生み出されるかなのだ。

私たち何kWの発電所を作りましたと自慢してもしょうがないのだ。要はどれほどの電力を生み出したかが一番重要な問題なのだ。それは油田の数ではなく産出 量が大事なのと同じだ。そして、太陽電池の生み出した電力がどれほど社会全体の環境負荷を下げたかが成果として評価されねばならないのだ。そして、その設 備投資によって得られた利益が正しく配当されているかどうかだろう。

これによって最も利益を得ているのは何処なのか・・・。
   
それは、電力企業である。彼らは自己負担無しで最も市場価値の高いピーク電力を得ているのである。

電力供給事業者は独占と引き換えに供給義務を負ってきた。現在の交流電源システムは一つの基準発電所に全ての発電所 が協調し富士川以西では60ヘルツ、以東では50ヘルツで、それそれの電力企業の営業エリア内ではすべての電力系統が動いている。
   
このシステムでは最大電力需要にあわせて発電設備が用意される。この最大電力需要が何時来るのかは、計画できるものではない。電力の需要家は電力企業の都 合によって電力を使うわけではないからだ。
   
特に、日本では蒸し暑い夏場の電力需要がエアコンの使用によって押し上げられる。この為に日本の電力企業はその為の発電設備を用意しなければならない。そ れが、設備の平均稼働率を押し下げる。結果、コストが高いということになる。(勿論、この稼働率根拠はは化石燃料などストックされたエネルギーを使って捨 てるだけの無責任な?使い捨てが前提の設備だ。勿論、これは温暖化ガスであるCO2を排出している)さらに。こうした需要のピークは系統装置の機器の劣化 を進めてしまい社会全体のマイナスになる。
      
この夏場の、というよりも一般的な昼間の電力需要に合わせた形で供給されるのが太陽光発電による電力である。家庭用だけに限れば、朝と午後5時以降に使わ れることが多い時間帯では太陽光発電はミスマッチだ。が、それが系統につながれると全く意味が異なる。
   
系統に繋がっている発電設備は全て社会全体のエネルギー供給装置となる。 実は、そうした視点から見るなら、家庭用太陽光発電設備は電力企業のアキレス腱といって良いピーク電力供給装置として最重要電源となるのだ。先のも述べた が、それは系統の最終需要地に設置されるので系統の機器にとっても無理な負荷が掛からないという隠れたメリットもあることを付け加えておく。
   
このピーク電力価格は電力企業の試算でも30円を超えている。場合によっては50円以上であると言われている。これに関しては以前、電力企業に問い合わせ たが、答えは得られなかった。このピークを抑えたいが為に電力企業はオール電化住宅向けの電力料金では夏場の昼間の電力料金を33円以上に設定している。 名のに、太陽光発電設備からの買い取り価格はこの契約にしても25円以下である。ここで既に同額で買い取るという此れまでのお約束は実に緩やかであるが反 故にされている。
   
しかし、彼らはそのことを正直には絶対に言わない。それを言えば、同額で買い取ってあげているのだという恩着せがましい言葉が通じなくなるからだ。そうし た情報格差を利用して彼らは利益を得ているのだ。一般的にこういうのを庶民の用語で言うならば「泥棒に追い銭」と言う。
   
そして、そのことは敢えて言わないで経産省は知識の無い一般人に儲かりもしない家庭用太陽光発電設備を設置させてきたのだと言える。この理由は、電力企業 に原子力と言う不良資産を押し付けてしまった借りが有るからである。何しろその為には国民が望みもしないのに勝手に電源開発促進税と言う財源を昨年、長期 的安定電源のためだけに使うと閣議決定し原子力支援の財源として聖域化してしまっている。

さらに、これに悪乗りする電力企業主導の愚リーン電力制度

皆さんもご存知かもしれないが、これに輪を掛ける殆んど寄付詐欺まがいとも言えるものがある。それも、あの大企業である電力会社が絡んでいるものだ。グ リーン電力制度と云われるもので、一般電力消費者が一口500円寄付すると、電力企業も500円を出して、それをNPOを通じて太陽光発電などをする人た ちにばら撒くというものだだ。

一見すごく良い仕組みに見えるが、実は、これは実に巧妙に太陽光発電の普及阻止を狙っているとしか思えない仕組みなのである。

太陽光発電は高いから補助金を出して安く設置できるようにしよう。消費者として考えるなら、それが一番いいと思われるだろう。しかし、それは間違った認識 だと論証できる。太陽光発電は生産材であって、消費財ではないのだ。

こんな支援の制度よりも、生産電力の全量買い取りでそれもその投入金額に見合った買い取り価格を保証すればいいだけのことなのではないか・・・。それが、 20年間、その制度の運用時から設備の設置年度によって決まる発電原価=コスト吸収価格を保証すればいいだけだ。これは、独占状態の電力企業に認められて きた制度ではないか・・・。

それによって長期に亘る、資本投下が可能になったのだ。そして、実にリスクの高い原子力などに電力企業は投資出来たのだ。社会の大多数の人たちが求めてい る自然エネルギーに何故、そうした制度を取り入れないのだろうか?

美味しい金儲けのための道具と化した電力事業に巣食う政治屋や既得権益層の為にか?

こんな人を馬鹿にした制度なんて止めてしまえばいいのだ。ではどうするか?簡単な話だ。

電力企業がそれ相応の価格で買い取りを行えば、設置時の補助金などは不要なのだ。目的は電力の生産であって太陽電池は手段に過ぎない。そんなものは自己責 任で設置者が用意すべきものだ。見かけの出力ではなく、一番効率よく投資効果の高いものを設置者は買うだろう。それがマーケットメカニズムを生かすことに なるのだ。

補助金を貰うためにせっせと申請書を書き、おねだりをする。頭も下げる?実に不思議だ。そして、非効率なことにコスト下げるよりはむしろ高い買いものをし たほうが沢山補助金をもらえるからと嘘の領収書まで用意する連中すらいるのだ。談合だって行われるさ。

怪しからん?全くそうだ。しかし、人間とはそう言うものだ。つまり、制度設計が拙いからそう言うことになるのだ。実に馬鹿くさい。

より優れた制度があるのにそれを使わないほうが馬鹿なのだ。ドイツの仕組みは簡単で分かりやすい。環境負荷の無い自然エネルギーから作られた電力の価値は 高いから社会が消費するならそれ相応のコストを支払うとしただけのことだ。

お上がばら撒く補助金の原資は私たちが出す税金なのだ。そのコストを負担する私たちが良く考えもしないで補助金に群がるからこういうことになるのだ。 ちょっと考えればどちらが合理的か分かるだろう。
   
私は、現状の家庭用太陽光発電設備はあまりに社会的な意義を過小評価されていると思う。既に設置されている皆さんはこれについてどう考えておられるのだろ うかご意見を伺いたい。