2002/01/29
 
「公平さなんてとんでもない。補助金はメーカーの為。環境に貢献する個人は犠牲的な精神でやる事が美しい!が日本の常識」・・・であって良い筈はない。

家庭用太陽光発電設備普及と国の補助金制度(その2)

 先に国の設置時補助金の問題点をこのHPの 別のファイル にて指摘しておいたが、その後の経緯をここに記しておく。

 http://www.solar.nef.or.jp/josei/m13_kami_result.htm
 

(出典:新エネ財団HP  http://www.solar.nef.or.jp/josei/m13_kami_result.htm





上記図の解説をしておこう。

平成9年は1997年、予算総額は111億円である。この年から約3分の1補助となっている。設置受付件数は上記の図の通り8329件であるが、実際に設置されたのは5649件である。この差2680件が応募したにも関わらず設置しなかった件数である。予算は結局、20億円ほどが未執行になり、国庫へ返還された。(COP3の開催年である)

平成10年(1998年)この年の応募者は8229件、予算は140.7億円。設置件数は6352件に留まっている。これは初めから締めきり時点で予算が余る事がわかったので、次年度へと繰り越している。その金額40億円である。

平成11年(1999年)ここから設置件数が順調に伸びてきた、屋根材一体型の登場である。この年度の予算は160億。前年度の40億があったので実質は200億円である。この40億円がなければ年度途中で原資不足を招いたであろう。

平成12年(2000年)ここで爆発的に普及が進んだ。(だからと言って補助金無しで良いという事ではなかったらしいけど・・・)総設置件数は25741件である。前年よりは8000件もふえている。実に順調に見える。

しかし、この年度のグラフが途中で切れていることに注目して欲しい。これは、募集が止められたと言う事である。7月8日、9月2日。それぞれ8034件、18907件、そして最終2月17日で25741件。実はこの締切日毎に設置補助金額が異なっているのである。1回目は1KW当り27万円、2回目は18万円、3回目は15万円である。同じ価格なら実に3KWのシステムで36万円も余分に負担しなければならない。

止まった理由は・・・、笑えるに笑えない理由である。このまま申し込みが続くと、補助金の原資が無くなるから・・・。グラフをご覧頂くと判るが、その前年、平成7年に比べるとその申し込みの勢いは倍以上である。そして、その補助金の原資は予算上は145億円で実質200億円有った前年よりも少なかったのである。

1KW当りの補助金を少し下げたところで明らかに原資不足になる。ここで、賢い官僚諸君が考えたのが「一度、止めよう。これほど申し込みが有るなら、補助金の金額を下げてばら撒ける数を増やそう。それに貰える金額が少なくなったら申し込みも減るかもしれない・・・」机上の計算で数字を合わせるのはお得意である。

そして、9月1日、後期の募集が始まった。9月1日からの消印有効、申し込み順。彼らの予想に反して、それは、たったの2日目で無くなった。(実質1日だよ)

さ〜、無い袖は振れない。が、業者からは「俺達の仕事を奪うのか、客は居るんだ。補助金無しでは売れない。どうなっているんだ?」と怒りの声が上がってくる。勿論、メーカーからの圧力だってあっただろう。それじゃ〜と、33億円と言う異例の補正予算を組まれて年明けに再度募集が始まったのだ。勿論、これも直ぐになくなったけど・・・。「ま、もう少しお待ち下さい。来年度も補助金出します」で言い抜けた。

そして今年である。年が明けて21000件を超えたところである。補助金額は1KW当りさらに3万円下げられて12万円である。で、その原資となる予算総額は235億円。去年の様な失態は繰り返したくないと、前年の145億円+33億円よりさらに57億円増えている。件数は5万件を予定していた。

が、設置件数は前年と同じか少ないだろう。 そして余るのだ。未達。これが、公共事業ならはっちゃきになって道路を掘り返すのであるが、如何せん、この事業は国民が屋根を差し出し、さらには虎の子の自分の金を出すんだから、事はそう簡単ではないのだ。

今年度の予算は、確実に余る・・・。それは取りも直さず経産省の予測である5万件の設置が達成されないと言うことであり、その供給能力のある企業が生産出来ないと言う事であり、それによって屋根の上で設置工事に携わる人の仕事が無いと言う事であり、それが設置されないために、お日様から得られたその分の環境負荷の無い電気エネルギーが失われたと言う事でもあるのだ。


マーケットは無いのか?決してそうでは無い。実はそのマーケットサイズは全国の建物の面積と同じぐらいあるのだ。おひさまのあたる面はすべてそのマーケットに成り得るのだ。

設置したい人は多い。しかし、異口同音に言うのは「高いから・・・」だったら安くなったら設置するのだろうか?それは,実は違うんだ。幾ら安くなっても、損をするなら設置しないと言える。今の電気代で考えるけど、電気代が今の3分の1になったら設置する人はいなくなるだろう。それと将来、価格が半分になるんだったらそれを待つでしょう?

逆にいえば幾ら高くてもそれで損をしないなら儲かるなら人は借金をしてでも設置するんですよ。世の中の資金はそうした方向付けが為されればそうした形で使われるのだ。

これは一般的な消費財では無いのだから、太陽光発電設備をありがたがる人をマーケットと考えている限り、そこまでなのだ。日本の屋根の上は太陽光発電で埋まる事は無い。

はっきりと言っておこう。太陽光発電はそれがどんなに小さくとも系統に繋がっている限りは、社会全体のエネルギー供給のインフラストラクチャーなのだ。それが家の屋根の上にあっても工場の屋根にあっても牛小屋の屋根にあっても幼稚園の屋根にあっても養老院の上にあってもそれは太陽の光を直接、電気と言う現在の生活に欠く事の出来ないエネルギーに変えて電気を使うところへの供給している社会全体のエネルギーの供給装置なのだ。この認識をもたぬ限り太陽光発電の真っ当な評価はされないのだ。

余剰電力購入メニューと言うのは電力会社との経済的な取り決めの関係でそうなっているに過ぎない。人間社会と環境=自然との関係から見れば、それは運用時には環境負荷の無い電源であるのだ。地球に降り注ぐ太陽からのエネルギーの流れを少しだけ人間の社会の中に取り入れるものであり、既存の電力供給から見れば環境負荷はずっと少ない。

それにも関わらず、この設備を設置するものはそうはしないものよりも経済的に大きな負担をして、更に先にやればやるほど損を承知でしなければならなかったのだろうか・・・。そして、何故に多くのNGO,NPOすらがこの不公正や不公平を看過するのだろうか。

じつはそれは特殊日本的な事情によるものだとも言える。その団体や個人が他より優れていると言う事をそれを看過する事で保証されるからだ。それは実に偽善的で差別的なものだ。

このままでは、過剰な環境負荷の大きな発電設備を持っている電力企業の既得権益を守るために次の時代の世代に借金を重ねる事になるのだ。その責任は問われねばならないだろう。それを問う事は我々の世代のモラルである。

既に、我々は今の補助金制度とは異なる導入支援策を知っている。それは電力企業につい最近まで保証されていた発電原価保証策である。日本の電力供給力を支えてきたのは実はこの制度があってこそ世界一質の高い電気を供給する設備投資が可能となったのだ。

何故に望ましい電源の導入にこうした方策は採用されないのだろうか?化石燃料とは競争力の無い自然エネルギーに対して競争原理を導入する愚を何故に犯すのだろうか。

「太陽光・風力発電トラスト」運営委員・中川修治

何も知らない馬鹿な記者が書いた記事(朝日新聞) うっくっく笑った。

屋根で輝く太陽電池 住宅の発電量、100倍に急増   http://www.asahi.com/science/today/020129a.html

 太陽電池を備えた住宅が増えている。経済産業省によると、94年には0.2万キロワットしかなかったのが、00年は19.1万キロワット(推定値)と、実に100倍近い伸びだ。

 太陽電池を屋根に付けて家庭で使う電力をまかなう。電気が余れば電力会社に買い取ってもらう。景気の悪化で住宅の新築需要はふるわないが、それでも勢いは衰えそうにない。

 三洋電機によると、太陽電池は、半導体が光を吸収するとプラスとマイナスの電荷が生まれる性格を利用している。

 用いるのはシリコンにリンなどを加えたn型半導体とホウ素などを加えたp型半導体。この2つをウエハースのようにくっつけると、一方にどちらかの電荷が集まって電極に。これをつなぐと電気が流れ、電力を生み出す仕組みだ。

 「99年ごろに住宅メーカーが住宅とセットで販売し始めたのが起爆剤の一つになった」と業界トップのシャープは話す。

 国の補助金制度と電力会社が余った電力を高値で買い取る仕組みも支えとなった。費用は一般家庭で約200万円。20年でもとが取れるというのが目安だ。

 需要増を見越して各メーカーは本腰を入れ始めている。シャープは担当部署を事業本部に格上げし、今年から生産工場の増強や宣伝活動にも力を入れ始めた。

 温暖化対策もあって、国は産業用も含め太陽光発電の導入量を10年度には99年度の23倍にする方針だ。

 補助金制度は来年度も計画されているが、さらに続けるかどうかの検討はこれから。経済産業省は「節目の年になる」という。

(2002/01/29)



ま、朝日新聞がこの程度なんだから押して知るべしなのよね。