「公平さなんてとんでもない。補助金はメーカーの為。環境に貢献する個人は犠牲的な精神でやる事が美しい!が日本の常識」・・・であって良い筈はない。

家庭用太陽光発電設備普及と国の補助金制度

 
この国(日本)の補助金というものの一般的な考え方とは、
聞くところによると・・・、2分の1の補助は試験的なプロジェクトへの補助金、3分の1の補助金は普及拡大の補助金と言う考え方。が有るらしい・・・。

(消費財として物を売るならその考え方も通用するが、これは生産財を購入するという話であってちょいと異なるんだと、私は思う・・・)


以下に日本の家庭用太陽光発電普及と補助金の関係を時系列でレポートする。

日本の太陽光発電普及のための補助金制度は大きく分けて2期に分かれる。一期が家庭用太陽光発電モニター事業で半額の補助金が出た時期。この時期、既に補助金の不正受給は行われていた。これは設置者が確信犯的に行っていたものである。が、それでも発電原価から考えると、今、買う人から比べるとはるかに条件が悪く、元を取るのはかなりの時間がかかる。

家庭用太陽光発電モニター事業=補助金2分の1時期 1994年(平成6)年度
実売価格 
1KW 
システム 
実売単価
3KW 
システム価格 
(補助後負担)


5KW 
システム価格
(補助後負担)
 補助金制度概要 
予算総額 

執行件数 

(応募件数)

1Kwh原価 

(金利=割引率 
4%20年複利)

補助金有り 
発電原価(複利)
1Kwh原価 
補助金
無し
金利無し

補助金
有り
金利無し
   
家庭用太陽光発電
モニター事業
     
180万円
600万円 
(300万円)


900万円 
(450万円)
設置総費用の最大約1/2補助
 
上限90万円/Kw
5KW最大
20.3億円
539件
(1066件)
225円


115円
90円

45円
この補助金は制度として始まる前年、細川内閣の時、総理の大きな公約の一つ「生活大国」予算の目玉として取り組まれることになった。しかし、この補助制度自体が実施に移される時点では政権は既に自民党政権に戻っていた。ある意味、継子のような扱いを受けたきらいがあったのかとも思われる。

制度自体は、ドイツではじめられていた補助金制度を真似たもので、当初、3分の2の補助率というスキームで40億円の予算要求がなされたが、大蔵によって値切られ、結果、総額は20億円となった。その為、補助率を2分の1に減らし、さらに対象を1000件から800件とした。

原資は電源開発促進税というあまり知られていないがあらゆる国内での電気料金に2%掛けられている目的税から支出されることになった。

(この税金は年間4000〜5000億円にも上る。そもそもが、立地市町村に経済的な波及効果の無い原発の立地推進のために中曽根、田中、先に推進派から寝返ってその後すぐに死んじゃった梶山という自民党の先生方が昔、作られたもの。その大部分は、電源三法交付金という悪名高き原発援助交際費用と言っても地域振興という本来、原発とは関係の無いことに使われたり、原子力発電関係の補助金に使われてきていた)

この目的税は電源多様化勘定と電源促進勘定の二つに大体、半分ずつ使われるが、そのの電源多様化勘定から支出されることとなった。窓口はその頃、NEDOはそれなりの役割を果たしていたが、殆ど、その存在自体が有効に機能していないと思われていたNEF=新エネルギー財団に割り振られた。

また、この年の予算編成自体が遅れたために、募集は年度途中の8月から始められた。応募者は、当時太陽光発電自体が、あまり知られていなかった事も有ってか1066件、それでも、2倍近い倍率となって抽選で当選者が決められた。それも、各県に振り分けられた。(これで公平で公正と言うことになるのかな?ばら撒くほうから見ればそうだろうな・・・)
 

※ドイツの補助制度の内訳は、国が3分の1、州が3分の1、で残りはの設置者個人が3分の1を負担すると言うものであった。一方、電力会社には厳しい買い取り義務が課せられていたが、それは電力の販売価格の80%。これが、後に下げられ、普及の速度が下がった経緯がある。その後、この問題点を解決する原価保証方式がドイツの1地方都市のアーヘン市で始まり、ドイツ国内だけでなく各地にひろがりを見せた。

現在、ドイツでは、この方式を2000年4月から新エネルギー促進法として全国に広げたため、設置者の経済的な負担は日本よりもずっと条件が良くなっている。因みにドイツの電力料金自体は日本の3分の2以下である。


1年目の補助金が取りあえず終わった時点で通産省は2年目のスキームを発表した。上限を3月末に発表したが、実はこの発表後に初年度マーケットシェアを京セラに抑えられたシャープがシステム価格を3割下げるという行動に出た。これは勿論、赤字覚悟であったろう。しかし、実質この価格が2年目の価格動向を決める事となった。ここで不正受給が生まれる素地が出来てしまったのである。

1995年(平成7)年度
130万円
420万円 
(210万円)


630万円 
(315万円)
 
 
162円


(81円)
65円
32.5円
170万円
510万円 
(265万円)


850万円 
(425万円)
 同上
上限85万円/KW
5KW最大
 33.1億円
1065件
(5432件)
212円


106円
85円
42.5円
不正受給で
補助金満額
受け取ると
165万円

205万円
本当の個人負担
金額
40.3円
20.5円
その理由は、水増しが可能な設置価格の工事費にあった。そして、その数字自体は、現時点では犯罪行為となると言う事で、明らかには出来ないのだが、あまりに高い価格のため実質の設置価格を下げるためにこの工事費を水増しし、設置者にキックバックすると言う方法で実際に設置者の負担を下げる事が現場で行われた事は事実である。上記の3KWシステムでの個人負担165万と205万と言うのは最もこのこの制度で負担を最小にしたときのものである。しかし、これでもまだ、設置者から見れば経済的には得にはならない状況であるが、現時点の電力価格との関係から納得できない価格ではない。
ここで実名を挙げる事は差し控えておくが、これを証明するからのように、繰上げ当選でこの補助金を受け、かなり安い価格で設置した人が、この補助金制度への不平を言っていたにもかかわらず、自分が設置したら一言もこの制度への不満を言わなくなった実例を私は多々、現実に知っている。
しかし、どう言い訳をしようが、これは明らかに不正であった。この事には主管官庁である通産省も気が付いたらしい。次の年は1KWあたりの補助金の上限額が劇的に引き下げられた。それも、工事費とか費目を細かく指定したもので、上限額をスライド制にすると言う苦肉の策をとって不正受給をさせない工夫をした。しかし、これも小手先の工夫であった。メーカーが組織的に?出荷したシステムで嘘をつくのは避け様が無かった。

この事が、後でばれて困ったのがサンヨーである。(補助金には不正受給が付き物である。これは急激にマーケットが拡大しシリコンの供給が追いつかずに、製品供給が遅れたと言うことも理由の一つである)

1996(平成8)年度
125万円
375万円 
(188万円)


625万円 
(313万円)
 設置総費用の1/2 
上限は50万円/KW 
機器代40万
工事費10万
40.6億円

1986件 

(11192件)

156円


78円
62.5円

35円
この年に起こったのが、当選者の辞退続出である。この補助金への申し込み自体は、当選後に辞退してもペナルティーが掛かると言ったたぐいのものではなかったために、メーカーでは兎に角、枠を取ろうと、本人の意思確認すらちゃんと取らないままに代理申し込みをしたらしい。(どこかのメーカーさん覚えがあるでしょう?)その結果、繰上げ当選番号が3000番まで行った。(これは私の父が実際に繰り上げ当選者になったので分かった事実である)つまり、この年の実質競争倍率は2倍程度で初年度と変わりないということである。
さらに、この年に問題となってきたのは補助金の枠でしかマーケットが存在しないと言う事であった。で、これでは困るということで、通産省ではメーカーにヒアリングを行った。(らしい)その時にメーカーからの発言として有ったのは「補助率を下げても、私たちはマーケットが広がるほうが良い。少々高くても売る自信はある」ということであった。(でもね、その次の年にその言葉が甘かった事が明らかになるんだよ)

そこで翌年のスキームに変更が加えられた。補助率、実質3分の1への変更である。名称の変更も行われた。(住宅用太陽光発電導入基盤整備事業、如何にも官僚用語である)価格も下がった事から3分の1負担へと変更をした訳だが、設置者の実質負担額自体は決して増えてはいない。(これは実際に掛かった費用から見て明らかであるから公平だと言えば公平ね)

住宅用太陽光発電導入基盤整備事業 (補助金3分の1期) 
1997(平成9)年度
105万円
315万円 
(210万円)


525万円 
(350万円)
 設置費用の最大約1/3補助 
  
価格スライド制 
  
KW設置価格−35.2万×1/2 

4KW最大 
 

111.1億円
(−20億) 

5654件 

(8329件)

131円


87円
52.5円
 


 35円
この年は、京都で気候変動枠組み条約第3回締約国会議が行われた画期的な年である。当然、環境問題に関しての意識は盛り上がった筈である。各国にいい格好をしようと、国も大盤振る舞いで予算自体も3倍近くの111億円に増やした。

ところが・・・、実際には国の目論見どおりには事は進まなかった。応募者は昨年の同じ時期から見て逆に減ったのである。応募者の少なさにCOP3の開催後に慌てて各地でセミナーなどを開き、やっと年度の締め切り時期になって予算消化できるだけの申し込み件数を確保する事が出来た。

で、その結果は・・・・。理由は、こうした予算の執行は猶予があるんだそうで、結果は1年後に明らかになった。

この目標値は達成できなかった。(ありゃりゃ)

表から見るように申し込み件数は8329件でこの件数自体が前年度割れであった。さらに、この件数自体に含まれていたその前年の繰上げ件数が減った影響で?(私の父が繰上げ当選で前年度の補助金の需給が決まったのが既にこの年度の真中ぐらいであった)実際に設置完了した件数は5654件に留まった。(止めたからと言ってもペナルティーは勿論無かった)

この件数で消化された予算はなんと90億円ちょっとである。では余った予算の20億円はどうなったのか・・・。これは新エネ財団に確認したところ、国庫へ返還したという事であった。(あ〜〜〜勿体無い。20億円って初年度の補助金額だよ!)

この事から何が言えるか・・・。一般の人は損をしてまで国の政策には協力はしないと言う事である。つまり、奇特な人間は既に設置を終わっていたのである。わざわざ高い買い物をする馬鹿(先行設置者の方に失礼な言い方だけどね。でも、そういうことなんです)はもう居なくなっていたのだ。それに、メーカーや国が事あるごとに3KWシステムがすぐにでも150万円以下になるようなことを言っていたのであるから誰が安くなるものを買うものか!犠牲的な精神で大枚をはたく人はこに日本ではそう多くは無いと言う事だったのだ。

大体、太陽光発電を設置しなくても電気が使えなくて困る事は無いのだから、それが絶対に損にはならない枠組みを作らねば、そうそう売れるものではないのだ。人の善意を当てにするほうが間違っていると言う事に気が付くべきだったのだ。未だに変わらないのが不思議だね。

太陽光発電設備は個人の屋根についていてもそれは社会全体の電力供給のインフラになっているのだと言う事をちゃんと認識すべきだったのだ。それを車やパソコンと同じ消費財として売ったメーカーも馬鹿なら、国はさらに輪を掛けて馬鹿であったと言えよう。こんな阿呆な補助金制度はさっさと変えたほうが良かったのである。既に、この時期にはアーヘンモデルが、この補助金の窓口となった新エネ財団主催の新エネルギー産業シンポジュームで日本に紹介されていた事は関係者なら誰もが知っている事である。

1998(平成10)年度
 95万円
285万円 
(190万円)


475万円 
(317万円)
 同上 

10KW最大

140.7億円
(−40億)
  
6352件
118円


78円
47.5円


31.66円
さて、予算の不消化をこのままにして置けない状況が次の年にも起こりうると危惧した国はどういった方策を取ったか・・・。需給条件の緩和である。一度、上限を5KWから4KWに下げていたのを何とたったの1年後には10KWにまで広げたのである。さらに自宅でなくてもOK!住民票が其処に無ければならないとかいう面倒な条件は付けない!誰でも良いから兎に角設置して欲しい!と言っているようだった。

しかし、募集締め切り時点で、その前年を下回った6352件の応募しかなかったのである。この時点で既に40億円が執行不能ということが確定してしまったのだ。

さて、国側は、ここでどうしたか・・・・。

国庫への変換という馬鹿な事はしなかったが、次年度への繰り越しである。40億円が眠ったのだ。(いや、正しくは40億円が有効に太陽光発電設備に姿を変えられなかったのである。この金でそのまま設備を設置したら・・・、(その金額だけで1000件分ぐらいにはなる)つまり3000件分ぐらいが出来なかったということである。これをこの時点で問題にしたマスコミは一つも無かった。(彼らは、予算については書くけど決算までフォローする奴なんて居ないもんね。オンブズマンぐらいだよ)また、こうした質問をした国会議員もいなかった。全く、補助金をばら撒くのが仕事だと思っている連中はその使われ方が適正かどうかすらチェックすらできないのだ。(こいつら税金で飯を食っているんだぜ)

さ、そして、ここいら辺りで発電原価がかなり一般の電気料金に近くなってきた事に注目して次の年度の動きを見てみる。

1999(平成11)年度
 90万円
270万円 
 (180万円)

450万円 
(300万円)
 同上 

10KW最大

160.4億円
  
(実質 200億) 

12006件

112円


66円
45円 

30円
何と、応募者が一気に2倍近くに増えた!一体、何が変わったのか?

その最も大きな理由はハウスメーカから屋根一体型製品が出た事にある。さらに、これを後押ししたのが自民党の消費拡大策で、住宅ローンがドンと下げられ、税制上の優遇策が作られ家を買う人々が増えたことにある。別に太陽光発電と言う製品単体が人気を博したわけではない。

つまり、偶々、別のファクターで設置者が損しない状況が生まれたから売れたのである。皆さんも記憶をたどって貰えば新聞各紙の住宅メーカーの広告には必ずラインナップされるようになっていた事を思い出されるだろう。

(この1年前、ミサワホームの石川修氏(株)ミサワホーム総合研究所取締役技術開発部長)が、「20年後の屋根材の葺き替え費用200万円が不要になるから、現時点での価格で買ったとしても十分に元は取れるようになった」と毎日新聞主催の第5回 わが家で太陽光発電シンポジューム で話されている)

また、これを裏付けるように、当時、私の取材にある関西の大手メーカーの役員は「屋根一体型は倍以上の出荷件数です」と答えている。

兎にも角にも、メーカーは売れさえすれば良かったのである。買い取り価格が下げられて設置者が損をする事になってもそんなことは彼らの知った事ではない。売れさえすれば良いのだ。だから、文句も言わない。一過性の補助金だろうが、マーケットが大きくなって、買ってくれる人が増えるなら・・・。

ここで起きたのが、2分の1の補助金時代に起きたマーケットの縮小である。幸い、前年度繰り越しの40億円があって実質200億円と言う予算があっても800件の積み残しが出てしまったのだ。もし、前年の予算の積み残し40億円が無かったら・・・、4000件近くマーケットが縮小していただろう。

この800件がどうなったかまでは詳しく調べていないので知っている方がいたら是非教えて頂きたい。(その後の、設置業者からの聞き取りによれば、どうもそのときに補助金が受けられない人は熱が冷めたみたいに結局、設置しなくなってしまったらしい・・・。あ〜勿体無い)

さらにこの年には初年度補助金受給者の負担額を補助金無しで実売価格が下廻ってしまっているのである。負担の公平さから考えるなら、既に補助金を出す理由は全く無くなっている。しかし、予算はつき、さらにばら撒きはすすめられた。そうでないと設備投資をした企業が救えないからね。個人が損をするのは放っておいても営利企業は救わねばならないのだ。それが政策というものなのだ。これは、酷策と言ったほうが良いね。

2000(平成12)年度 定額制に変更
 
実売価格 
1KW 
システム 
実売単価
3KW 
システム価格 
(補助金有り)


5KW 
システム価格
(補助金有り)
 補助金制度概要 
(実にころころ変る)
予算総額 

執行件数 

(応募件数)

1Kwh原価 
(金利=割引率 
4%複利)20年 

補助金有り 
発電原価(複利) 
金利無し
前期
6月迄
 80万円
240万円 
(195万円)

400万円
(265万円)
  27万円/KW 
10KW最大
145億円

17396件 

(18127件)

100円

66.25円 
40円

(26.5円) 

上積み補助
個人負担
100万円

200万円
20万円/KW
(3KWまで)
60万円もらえる
限定100件
22.22円
14.8円
後期
9月
 同上
 240万円
(186万円)

400万円
(310万円)
 18万円/KW 
4KW最大に縮小
 
77.5円
40円

(31円)

   上積み補助
 個人負担
124万円

250万円
 同上
 
52.5円
26.5円
追加
1月
80万
再募集  
15万円/KW 
4KW最大
補正 33億円

(6834件)
100円

81.25円
32.5円
2000年のスキームはまた、変更された。メーカーや設置業者側からの要請によるものか、とうとう、定額制になった。設置者の負担の公平性をかなぐり捨てたと言う事で、これはもう、メーカーのための産業振興補助金制度に過ぎない事を公言したに等しい。それも、同じ年度で3回も補助額が下がったのだ。(先にやったら得なのよね。この年だけは・・・)

ま、この価格になったら設置しても損にはならないね。それも屋根材で組み込むなら逆にお得ですよね。だって、普通の電気代と殆ど同じなんだから・・・。本格普及の段階になったんです。やっと条件がそろったのだ。

さて、この年の経緯を追ってみよう。

定額制で始まったこの年、年度途中で補助原資が足りなくなると前期募集が突如7月に締切られる。この時点で既にこのままの申し込みでは年度途中で予算不足が目に見えてしまったのだ。で、予算と言う枠に縛られた頭でしか考えない通産省は慌ててしまって後期分を残そうと締め切ってしまった。

でも、マーケットは有った。後期9月1日に募集開始をすると何と2日目でその予算枠を超える申し込みが殺到したのだ。この日は月曜日で消印有効で次の日までにに届いたもので予算は消化してしまったのだ。

姑息にも1KWへの補助額を何と9万円も下げたにもかかわらず、申し込みは減らなかった。しかし、たった2ヶ月で設備価格がKWあたり9万も下がることは無いでしょう?この不公正はさらに追加で出た年明けの予算でも拡大した。さらに3万円下げられたのだ。これは、メーカーや販売店からの要望によるところが大きいが、これも直ぐに無くなってしまった。

はたして、この年、まともなマーケットはどれほどあったのだろう?件数から言えば25000件に止まるものではなかっただろう。

さらにこの年、この制度に悪乗りをした変な補助金制度をつくった団体が現れた。上記の上積み補助と書かれた部分である。国の補助金にさらに上積みを行うもので、受給する個々の設置者にとっては、好条件だ。金利なしで考えたら、発電原価は14.8円。これなら誰だって買うよね。何と5年前に設置した人の三分の一以下。普通に電気を買っている金額よりもはるかに安い!

原資は電力会社からから出されたものである。それをあるNPOが窓口になり、九州地域限定100件で行われたのである。これは、上積み補助金を出す自治体でも同じことが起こる。これによって、安くなるまでまとうという考え方になる人が増え、マーケットの縮小が起こるのである。

でもね、公平さという観点からは完璧に失格!でしょ。

結果は、各設置者の格差をさらに拡大するものであった。この団体に、こうした問題点を指摘したところ、返ってきたのは、以下の紹介するような回答であった。 (あらら)

(>は相手からの引用)

普通サイズ黒文字は、これへの私のコメントです。


>
>  1.私どもは、省エネルギーや地球温暖化防止の取り組みと表裏一体のものとして
> 太陽光発電等再生可能エネルギーの普及を進めてきておりますし、今後もそのように
> 進めていきたいと考えております。

この認識には同意いたしますし、それは進められるべきものだとも思います。

>
>  2.私どもは単にお金をばら撒いているのではなく、将来にわたって太陽光発電を
> 始めとする自然エネルギーの普及を率先して進めて頂けるような「パイオニア(設置
> 者」の方々を選定して行っております。それ故、お金のみの必要から補助申請をされ
> ていることが明らかな場合には補助金の支給を見合わせるなどの措置をとっておりま
> す。

そうですね、単にばら撒いておられるのではなく選別されているのですね。それほど自分達に自信をお持ちとは羨ましい限りです。私は選別するなどとはおこがましくて出来ません。でも、折角ならそれは自己資金でおやりになっていただきたいものです。

私はその資金の出所を問題としています。

>
>  3.私どもは、九州では全国平均に比べ所得が低いと言われているため、太陽光発
> 電の普及においては、補助金制度は未だ必要であると考えています。

所得が低いのは別の問題です。九州の住む所得が低いから電気代が安いわけではありません。大体、九州の人が全員所得が低いのではないですね。私は公正で公平な制度を作るべきだと言って来ました。

お金の無い人でも銀行から資金を借りても決して損にはならないように金利を含めて発電量の全量を評価すれば良いと申しているのです。以前、提案させていただいた九電から資金提供を受けた3億円を原資として原価補償をされれば良いと提案したのです。これは、それへの返答にはなっていません。

>
>  4.私どもは、「先行設置者が損をする」については、一般的にはパソコン等の例
> を見てもありうる話である(良いということではありません)と考えています。

ここが最も重要な点です。

パソコンは消費財、太陽光発電は生産財です。

その区別をつけないで考えてはなりません。これを同じモノとしてしまうと完璧に間違います。それは多くの人が犯している間違いですが、運動を進める方々がそうであっては困ります。認識を改めて頂かないと困ります。

貴会が資金の提供を受けている九州電力はCO2を大量に吐き出す火力発電所や放射性廃棄物を作り出す(にも関わらず環境にやさしいと言う欺瞞的なことをテレビなどで一方的に宣伝する)原発で電気をつくり、それは原価が保証される価格で我々消費者に一方的に売りつけられていると言うことをどうお考えなのでしょ うか?

太陽光発電はそれが個人の屋根に在ったとしてもそれは社会全体の電源供給の一部であるのだと言う認識を持つべきなのです。それは既にドイツなどでは認められており、それ故に買い取り価格の保証という形で新たな法律が施行されているのです。

そして、それを先行設置者が犠牲的な精神で負担することが正しいと考える限り日本の環境問題は根本的に解決しないと思います。

あなた方の行っていることは市民の側に格差を作り、同じ地平に立つことをむしろ難しくしてるのではないでしょうか?

そりゃ、安く出来たら良いでしょう。しかし、それが何故一部の人たちだけになるのでしょうか?それはオープンな市場で実現されるべきものです。
 


これへの反論は未だに為されておらず、この上乗せはさらに、2年続けられると言う事である。

そもそも、こうした発電設備を設置しうるのはある程度の資金を用意できる経済的な強者である。そして、この上乗せ補助金によって為されたのは、発電原価1KWhあたり14.8円という電力会社からの購入単価よりもはるかに安い電気を作り得る状況である。即ち、金持ちにさらにプレゼントをしたわけである。そして、それは貧乏な人からも否応無く集められた電気料金を元にした九州電力の資金から出ているのである。貧乏人からの金持ちへの所得移転。なんと素晴らしい市民運動であろうか・・・。これは感動的でさえある。それも一部の人間の為だけの補助金である。全員には出ない。さらに、格差を大きくするだけの制度である。

下記が来年度の予算のスキームであるが、さらに同じようなことをすすめるなら・・・。それは馬鹿のする事である。今からでも遅くは無いから、電力会社の出す億を超えるこの資金を使って、原価保証方式を実践されることを、私はお勧めする。どうすればいいのかが判らないなら幾らでもご相談に応じよう。

2001(平成13)年度 
70万円
 210万円
(174万円)

350万円
(290万円)
 1KWあたり12万円
   
総額 250億円
93.75円
67.5円
29円
※補助金の数字は経済産業省新エネ対策課に確認   
 

この数字が出るまでは、来年度の補助金もすぐさま、無くなる事だろう。と、予測したが、何と、国は2年後に無くすにあたってか、それとも、メーカーおよび設置業者からの要望に応えて、大盤振る舞いをしたようだ。後出しのじゃんけんみたい・・・。

ならば、初年度で40億の予算要求を20億に買い叩くというような事をすべきで無かったのだ。そうすれば、かくも大きな負担の格差が出る事も無かったし、もっと設備自体の価格も下がっただろう。それこそ、彼らがその目的に書いたように、「初期需要の創出により価格の低下を図る」ことが目的どおりに出来ていた筈である。

おそらく、この金額でこれだけの予算を組めば、設置対象は6〜10万件ほどになるだろう。そして、この件数で十分に効果があったと人々の善意を買い叩いた官僚は言うだろう。しかし、その金は官僚の出したものでもなければ、変なNPOの出した金でもない電気の使用者から出た資金である。それも知らないうちに電気料金に上乗せされていた電源開発促進税とちゃんと説明のつかない変な金である。その金の3倍以上の資金が設置者の懐から出されたのである。

そして、先行設置者と新規設置者の格差はますます大きくなるのである。これは、予算と言う現行の制度の持つ根本的な制度上の欠陥である。そして、足りなくなれば、また補正を組む必要が出てくるだろう。(でも、なくても設置する人はするだろう。だって昔ほど、大損こくことは無いからね)

つまり、何が問題であったかを以下に述べる。

  1. 結果の平等をもたらす事を目的とした補助金制度は制度設計の拙さから逆に結果の不平等、不公正を生んだ。
  2. 収入の不平等は負担の公平さとは異なるファクターで起きた問題である。
  3. 上記2の問題を結果の平等で図ろうとする事は問題をさらに複雑にするだけである。
以上に述べてきた事から一過性の補助金の持つ問題点は明らかになっていることは、よくお分かりいただけたと思う。ではどのような方策が採られるべきなのか・・・。

 □予算主義から決算主義へ
目的は何なのか・・・。これを考えれば直ぐに分かる事である。 

目的は、「環境負荷の無い電気を作る事」である。そして、太陽光発電設備は逆潮流で系統へ繋がっているという点から見ると個人の屋根に有っても社会全体のエネルギー供給のインフラの一部となっているのである。

ならば、その目的の物自体を評価の対象とする制度を作れば良いのである。先にちょっとだけ、紹介した発電原価保証方式=レートインセンティブ支援策がそれである。

レートインセンティブ支援策とは各年度ごとに発電原価を算定し、その発電原価による発生電力の総量の買い取りを保証するものである。(下図に滋賀県へ提案したものを参考にあげておく)


(参考図U) 滋賀県へ提案したきれいな電気生産奨励金制度の概要
※現行の余剰電力購入制度の中でこれを実現するためには下記のようにすれば良い。
 

きれいな電気の価格 = これまでの電気の価格 + きれいな電気生産奨励金
(発電原価)       (電力会社の電力価格)     (公的な支援制度で)
 
  (例) 1kWh  125円  =     24.70円     +  100.30円           
       
※きれいな電気の価格は設備費が毎年下がりますから設置年度毎に改定され奨励金の金額も下がります。 

きれいな電気の発電原価 = [初期設置費用×1.05の20乗} ÷ 20年間の総発電量

レートインセンティブによる支援制度とは、われわれのような環境負荷の無い発電所で作られた電気の価格を社会的に高く評価するというものです。具体的には先に設置した人が損をしない価格で発電量の全量を評価します。電力会社との売買価格の差額分を奨励金として設置者に還元する事で実現します。
  


発電原価補償の原価計算は基本的に年利4%の複利計算による発電原価(20年間運用で派生する電力量で費用を割ったもの)を基本とし、(上記黒字部分の数値)これから電力企業からの電力購入金額を差し引いたものが「きれいな電気生産」への奨励金として各事業主体へ支払われる。

この条件が設定されれば社会的な資金の流れをこうした設備の設置へと誘導することができる。単年度の予算執行では長期的な保証は出来ないので、こうした施策の実行が望まれる。公正さと公平さおよび、ほかの条件の変化によって実効性が失われるような施策は望ましくないと考えられる。


私たちは現在、滋賀県で湖国21世紀記念事業「お陽様基金」で試行している原価保証方式=レートインセンティブ支援策が上記の問題点を解決する方策と考えている。これは20年間に設置時における補助金とは異なり、最終的に我々が目標とする環境負荷の無いエネルギーそのものを評価するものである。(不公正さは無いでしょう?)

この制度によって守られるのは、まずもって社会全体の環境=ソーシャルなメリットであり、次にそれに貢献する再生可能エネルギー設備運営者のパーソナルなメリットである。

その設備によって生産されたエネルギーが評価の対象となるのであって、設備自体は評価の対象ではない。これは単なる道具である。目的は環境負荷の無いエネルギーの生産であって、それは農業における作物と同じである。田んぼを買うことが目的ではない。それを耕し、稲を植え、育て、収穫された米が必要なのである。

田んぼを買うことが目的化したら・・・。それはバブルである。田んぼを金儲けの取引の道具にする事になるのだ。私たちは太陽電池を取引きの道具とするこの補助金制度は明らかに間違っていると考える。

発電原価の保証はすでに電力会社には保証されてきたものである。では、こうした資金の出し方は効率的でないということが言えるだろうか?

その答えは、NOである。何故なら・・・、無数の設置者がその最大効率を追求するために、知恵を出す事になるのだ。

以下にこの制度に関わる金利他について述べる。

1、金利4%の根拠

この4%は現時点で借り入れを行い、未利用の屋根を提供しようという意思を持つ人が余分な経済的負担をしないで太陽光発電の設置を行いうる条件による。長期借り入れ金利を基本とする。

銀行に預金した金利は銀行が他のものへ貸し出しその人が得た経済的な利益から支払われた貸出金利から銀行の利益が引かれたものが預金金利となるので、ここでの計算では環境負荷の無いエネルギー生産に裏打ちされたものとし現時点で妥当と思われる自然金利を想定し、総費用を20年間で償却するものとした。

現時点での預金金利はバブル崩壊後の銀行の不良債権を一般預金者からの借り入れと貸し出しの差額で埋めるための不自然な金利であるので、これは採用しない。
 

2、発電量と機器の条件変化について 
機器は1KWシステムで年間1000KWh発電するとした。地域差と機器の性能向上を計算に入れていないのでこの点は、補正の必要があるだろう。

上記条件で、各年度ごとの発電原価を計算。実態数値に近い値を(実際にかかった数値が重要ですから)、メーカーや置業者に出荷価格を確認の上で出した。
 


※内容に関して引用される場合は出展を明らかにし、必ず連絡される事を望みます。と言う事で、これについてはコピーライトにします。
  
2001年3月14日                  
「太陽光・風力発電トラスト」運営委員・中川修治
【付録】
 
1997年と98年の点線部分は本来、予算が満額執行されたら、これだけの件数が設置されただろうという数字である。1997年は111億円で執行額は91億円でこの差額20億円は国庫へは返還された。(因みに、20億円は初年度の補助金総額と同額である)

また、次の年の締め切り時点での予算執行不能分40億円は1999年度の160億円に上乗せされ実質200億円となった。これが160億円のままだったら実質設置可能件数は9000件ほどでマーケットの縮小を証明したであろう。そして、この年は、800件が補助金の交付を受けることが出来ていない。

1997年度と98年度の点線部分は本来、予算が満額執行されたら、これだけの件数が設置されただろうという数字である。特に1997年度に関しては応募したにも関わらず設置をやめた件数が3000件近くある。

 
1995年の不正受給による40.3円は最大の数字であって、この年の発電原価は105円ぐらいからこの40.3円ほどの間にあると考えられる。損益分岐とした25円は平均的な電力価格であって、筆者の発電所のある九州では売電価格は電気を使わない家庭の場合は20円以下になる。

そして、2000年度、格差は初年度と驚くほど比べると大きい。しかし、屋根材として設置すれば十分とは言えないが、経済性では既に設置したほうが得になっている。現実に、ここ2年間で売れた最大の原因はそこにある。本来、こうした財は、社会全体で支えられるべきものであるから、個人は損をしてまで買うべきものでは無かったのである。(しかし、この国には心やさしい多くの善人がいて買ったのですね。で、価格が安くなったのよ)



【追加情報】 2001/05/28 日経

住宅各社、太陽光発電システムの価格引き下げ

 積水化学工業、ミサワホームなどが住宅用太陽光発電システムの販売価格を引き下げている。量産態勢が整ってコストダウンが可能になったことが主因。

これまで普及を後押ししていた国の補助金制度が来年度で打ち切られる見通しで、来年度以降を見越して低価格化で需要を掘り起こそうという狙いもあるとみられる。昨年の平均価格に比べ3割強下がっているケースが多い。

 積水化学工業が4月に発売した住宅「パルフェ・デュラストーン」に標準搭載した太陽光発電システムは出力3キロワット160万円(工事費込み)。1キロワット当たり53万円強で、昨年の業界平均価格の84万円に比べ37%安い。経済産業省・資源エネルギー庁が設置補助事業を始めた1994年の平均価格は約200万円だった。低価格化が進んでいるのは主要部材の高性能太陽電池パネルの開発が進み、シャープ、京セラなどシステムメーカー各社の量産が可能になったため。ハウスメーカーはシステムに組み立てる前の段階で調達し、自社のプレハブ住宅工場で屋根への設置までを完了できるようになった。
 



【追加】 2001/10/30

最近の太陽光発電の補助金の現状について・・・

NEFのHPに因れば http://www.solar.nef.or.jp/system/html/new.htm 

平成13年度上期「住宅用太陽光発電導入基盤整備事業」応募申込状況(10月5日現在)の

応募申込総数は、 13,710件である。

内訳 一般住宅用(一般用・建売用) 13,025件 地方公共団体協力応募用  685件
総予算は今年度、160億円ほどで、当初、5万件の補助を予定していた筈である。このままでは、おそらく年度末までに三万件ほどの申し込みに終るであろう。

これは既に1997年度、1998年度で起きた事態が繰り返されると言う事になる。おそらく現在以上の補助金増額は出来ないだろう。理由は、後からやった人のほうが補助金が多いと言う事になり、公平性から見てそれは出来ないだろう。(既に、上に述べてきたように、この補助金制度は年度毎の負担の不公平さは明らかであるのだけど・・・・)

で、どう言う言い訳がなされるのかが知りたいものだ。


さて、ちょっと変わった?補助制度を導入した自治体がある。(上乗せ補助金と言う格差を拡大し不公正を助長すると言う点では失格だけど・・・)

2001/10/18 太陽光発電に補助 12月から太田市 11市初、最高40万円

http://www.raijin.com/  (上毛新聞)

 太田市は十二月一日から、太陽光発電システムを設置した住宅を新築した人などに、住宅建設等促進奨励金を支給する。支給額は最高四十万円で、県内十一市では初めて。

 住宅建設の促進や環境に対する市民意識を高めるのが目的。また、助成は市内の商店などで使える市の金券で行い、商業振興にもつなげる。

 同市などによると、太陽光発電システムは、標準的とされる三キロワット以上四キロワット未満のもので、四人家族の平均的な電気使用量の約80%をまかなえる。

二酸化炭素の排出による地球温暖化が進む中、効果が期待できるという。助成の対象は、市内に太陽光発電システムを設置した住宅を新築した個人か、太陽光発電システムを設置した建て売り住宅を購入した個人。

 奨励金は、設置したシステムの最大出力により異なり、(1)一キロワット以上二キロワット未満十万円(2)二キロワット以上三キロワット未満二十万円(3)三キロワット以上四キロワット未満三十万円(4)四キロワット以上四十万円―となる。

これはちょっぴりだけど、地域のエネルギー生産と内発的な経済との結びつきを意識したものとなっていることに注目だ。しかし、まだ、頭が予算と言う考え方に毒されている。はっきり言えば目的と手段を取り違えている。(これぐらいのアイデアでもマシだと言わないといけないのは情けない・・・、しかし1歩前進だね!)