★ 放射線と放射能(1)


放射線−目にも見えず、臭いもなく、電気のようにピリッとするでもなく、人間の五感では感じることができない。それでいて、今こうしている間でも確実に私たちの身体を貫いている不思議なもの。もし、この放射線が五感のどれかで感知できていたら、原発など存在しなかったはずだ。

今回は、この放射線あるいは放射能について説明したい。(2回シリーズ)
      ◇          ◇          ◇ 
まずは、皆さんが最初にぶつかる壁(?)「放射線」と「放射能」の説明から始めよう。
●「放射線」と「放射能」

この2つは、よく混同されて使われるが多い。仮に混同してもさほど問題はないが、一応ポイントは押さえておきたい。
放射線:原子・電子などの粒子の流れや、光・紫外線などの総称。特に大きなエネルギーを持っていて、ぶつかった物(生物を含む)に影響を及ぼすものを一般に“放射線”と呼ぶことが多い。
放射能:“放射線を出す能力”または“放射線を出す物質=放射性物質”のこと。普通、後者のことを指すことが多いようだ。

放射線が何故問題になるかというと、それがあらゆる生き物に悪影響を及ぼすからに他ならない。例えば、紫外線による皮膚ガンの発生などが身近な例として挙げられよう。これは、放射線の持つエネルギーが私たちの身体を形成する分子などの結合エネルギーより、数万倍も数億倍も強いため、被曝によってその結合が切られたり、破壊されたりするからである。

●主な放射線
      
                      (生体内)

アルファ(α)線:ヘリウム原子の流れ0.1mm
ベータ(β)線 :電子の流れ1cm以内ガンマ(γ)線 :電磁波の一種透過する

紙  薄い金属 厚いコンクリート

アルファ線及びベータ線は、紙や薄い金属で遮ることができるし、空気中でも数cmから数m進むだけで減衰(エネルギーを失う)してしまう。だから、放射線防護の観点から見れば、あまり問題はないように思える。確かに「外部被曝」という点では、その通りである。しかし、これらを出す放射能、例えばアルファ線を出すプルトニウムが一旦体内に入ってしまうと、プルトニウム粒子の周辺にある細胞に持てる全てのエネルギーをぶつけるため、障害の発生は重篤となる。つまり、これが「内部被曝」である。
一方、ガンマ線は透過力が強いため「外部被曝」の原因となる。そのため、これを遮蔽しようとすれば、原発のように厚いコンクリート壁や鉛の板が必要になる。     このように放射線の種類によって、その性質や障害の発生の仕方が異なることに注意してほしい。                                  

●主な放射能 

放射能には、地球上にもともと存在しているもの、あるいは宇宙線によって生成するものなどの「自然放射能」と、原発や核爆発によって作りだされる「人工放射能」の2種類に大別できる(下の表)。

  、   放射能名   、   半減期   、 
、自、 ウラン235     、    7億年 、
、然、
、放、 ウラン238     、   45億年 、
、射、          、        、
、能、 カリウム40    、   13億年 、
、 、 プルトニウム239  、 24000年 、
、 、          、        、
、人、 ヨウ素131     、     8日 、
、工、          、        、
、放、 セシウム137    、     30年 、
、射、          、        、
、能、 コバルト60    、     5年 、
、 、          、        、
、 、 ストロンチウム90 、    28年 、

放射能にはそれぞれ固有の寿命があり、それを「半減期」で表す。今ここに、100個のウラン235があったとしよう。これが半分の50個になるのに7億年かかる、つまり半減期が7億年という訳である。この表を見て、自然放射能の半減期が非常に長いことに気付かれた人もいると思う。地球が誕生して50億年と言われているが、生まれて間もない頃の地球は様々な放射能が大量に存在する“死の世界”だった。それが時が経つにつれ、半減期の短いものは順次減少し、大半のものは消滅してしまった。そして現在、地球上に残っているものが、半減期の長いウランであり、カリウムなのだ。ウラン238の半減期が45億年ということは、地球誕生の頃には今の2倍くらいのウラン238が存在していたということになる。                            

●「自然放射能」と「人工放射能」

「放射能が出す放射線は、“自然”も“人工”も区別なく同じもの。既に自然界には放射能(線)が存在しているのだから、それに少しくらい人工のものが加わっても問題はない」というのが原発推進側の言い分である。果たしてそうなのだろうか。

実はこれには、3つの誤魔化しがあるのだ。                   「自然放射能」と「人工放射能」ではその性質に決定的な違いがある
「自然放射能」もまた危険である
放射能(線)は微量でも危険である

ではこの3点について少し詳しく説明しよう。 「「 「放射線と放射能A」につづく


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 ことの葉 −ある言葉の記録− 「

◆原発の安全性に疑問を抱き、アメリカの原子炉メーカーG・Eを辞めた技術者、D・B・ブライデンボー、R・B・ハバード、G・C・マイナー (1976年) 

「原子力発電所の設計、建設、運転の全ての欠点や欠陥が相乗効果となって原発の事故が発生するのは、私たちの意見では確実な出来事である。唯一残された問題は、いつ、どこで起きるかだ。…どの程度安全であれば十分かという問題は、政治的に決められるのであって、技術上の見地からの決定ではない。」

◆“水爆の父”エドワード・テラー (1969年)

「今まで我々は非常に幸運だった。しかし、産業化が進むにつれ、また、よくわかりもしないことをいじくり回すサルの数が増えるにつれ、いかに安全なシステムを作ろうと、やがては愚か者に壊されてしまうだろう。」

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「

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