★ 放射線と放射能(2)

前回は、放射線と放射能についてその種類や性質などを簡単に説明した。今回は、「自然放射能」と、原発などが作り出す「人工放射能」の違いや放射線障害について述べる。
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●自然放射能と人工放射能 (前回からのつづき)

@「自然放射能」と「人工放射能」では決定的な違いがある

 それは「人工放射能」は、生体内で濃縮・蓄積されるものが多く、内部被曝の危険性を増大させるということである。

生物は地球上に誕生した時から、様々な放射線の影響を受けてきた。放射線に弱い生物は死滅し、耐えられるもの−つまり、選択能力や修復力を獲得し適応したものだけが生きながらえてきたと考えられる。例えばヨウ素。本来自然界には非放射性のものしかなく,
かつ陸上には乏しいため、生物はこれを積極的に取り込み、濃縮するという適応を何千万年もかけて身に付けてきた。ところが新たに付け加えられた人工の放射性ヨウ素に対しても、自然のものとの区別がつかず、これを吸収・濃縮してしまうのである。そのため、深刻な内部被曝を引き起こし、様々な障害をもたらすことになる。つまり、生物は「人工放射能」には適応できないのである。

A自然放射能」もまた危険である 
      
 よく推進側の主張で“世界には放射線レベルが非常に高い地域(インドのケララ州など)があるが、そこでのガン発生率が取り立てて高いということはない。また国内でも西日本の方が放射線レベルがやや高いが、これも東日本と比べて問題はない”というのがある。しかし、本当にその差を知ろうとすれば、野外で一年中裸で過ごし、かつその場所だけで採れるものだけを食べた集団を調査しなければならない。ところが実際には、人々は衣服を着、建物内で過ごし、移動し、食物も至る所から流通している。これでは、差を見つけることは不可能である。つまり、「差がない」のではな 「わからない」のだ。
                             
しかし、最近の調査ではインドのケララ州などに生息する動植物に染色体異常が多いことや、人間でもダウン症や重度の知能障害の発生頻度が高くなっていることがわかってきており、徐々に自然放射能の危険性が明らかになりつつある。          

B放射能(線)は微量でも危険である                      

「原発からの放射能(線)は微量だか危険はない」という理由で、原発は推進されてきた。しかし、放射線にはこれ以下なら安全という線量はなく、微量でもそれなりの障害をもたらすというのが最近の考え方である。
                   
「100」という放射線量が「1」の放射線量より危険であることはわかっているが、その  「1」という放射線量がどれだけ危険なのかは未だ十分には解明されていないのが現状なのだ。この“不明である”ことを“安全である”ことにすり替えて、原子力開発は押し進められてきたのである。従って、いくら微量とは言え(実際には大量だが)、新たに放射能を、それも体内に蓄積されるようのものを作り出すことは決して許されることではない。しかし、現実にこれだけ原子力開発が進んでいる今、われわれは地球規模の人体実験をしていると言えるのではないだろうか。

●放射線障害

一度にたくさんの放射線を浴びた時と微量の時では、生じる障害の形態が異なる。特に後者の場合は、何年も何十年も経過してから障害が現われることがあり、そうなると被曝との因果関係を立証することが極めて困難となる。

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┃ 高線量被曝 ┃ 急性障害 ┃ 吐き気、頭痛、血球減少  ┃
┃       ┃      ┃      ↓         ┃
┃       ┃      ┃  脱毛、下痢、火傷    ┃
┃       ┃      ┃      ↓         ┃
┃       ┃      ┃    神経障害      ┃
┃       ┃      ┃      ↓         ┃
┃       ┃      ┃     死亡       ┃
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┃ 低線量被曝 ┃ 晩発性障害 ┃   ガン、寿命短縮     ┃
┃       ┃(スローデス) ┃              ┃
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┃       ┃ 遺伝子障害 ┃    突然変異      ┃
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●放射線は“赤ちゃん”を狙う

 急速に細胞分裂を行い成長している胎児や乳幼児においては、放射線に対する感受性が成人よりはるかに大きく、たとえ低線量の被曝であっても重大な影響を及ぼす。それは単に死亡や小児ガンにとどまらず、免疫・ホルモンの異常や神経系の発達異常などによって、体力・知力の発育不全をもたらす。また、後世代へ引き継がれていく生殖細胞の遺伝子異常を引き起こすこともあり得る。                   

下の表はカナダ・オンタリオ州にあるピッカリング原発周辺での新生児死亡数と、原発からのトリチウム(放射性の水素)放出量との関係を示したグラフである。州全体の 新生児死亡数は概して低く、かつ減少傾向にあり、トリチウム放出量とは全く関係がない。ところが、原発周辺の新生児死亡数は変動が激しく、その上トリチウム放出量の増減とほぼ一致した動きをしていることがわかる。                 


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〒319-11 茨城県那珂郡東海村白方白根2-4 (財)放射線計測協会「はかるくん」係

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