★ 原発と地震(1)


1995年1月17日未明、淡路島北端を震源とする巨大地震が近畿地方を直撃した。震度7、マグニチュード7.2を記録したこの地震は死者5400人余りを出すという、近年稀に見る大災害となった。また「絶対に大丈夫」と言われていた高速道路の高架橋が倒壊するなど、従来の「技術神話」をも打ち砕いた大地震であった。

〈阪神・淡路大震災と命名された〉奇しくもきっかり1年前の同日、米ロサンゼルスで地震が発生し、阪神・淡路大震災と同様高速道路の高架部分が倒壊し交通網は寸断、またライフラインも麻痺し、都市の脆弱さを露呈する結果となった。

この時の我が国の専門家の談「…ロサンゼルスでは都市基盤整備で安全面に投資してこなかったツケが出ている。高速道路も日本の方がはるかに頑丈だ。」また別のところでは首都高速道路公団の幹部が「関東大震災級の大地震(M7.9)が襲っても高架橋部分の崩壊は絶対にない。次の大地震で残るものは高速道路だと自負している」とさえ語っていた。…そしてM7.2の巨大地震が神戸を襲ったのである。阪神大震災は彼らの高慢な心はもちろん、同時に化学技術神話をも完全に崩壊させたのである。

「高速道路」を「原発」に、「ロサンゼルス」を「スリーマイル・チェルノブイリ」に置き換えて、この専門家の言葉をもう一度読んでみよう。国や電力が流布する原発の宣伝文句と全く一致することに気付くだろう。電力会社などは「大地震の時には原発の方が安全」とまで豪語する程だ。

では、彼らがそれ程までに自信を持っている原発の耐震性について検証してみよう。

   ◇           ◇          ◇ 

●国が実施した原発の耐震性評価

国は1980年から1989年にかけて香川県にある多度津工学試験所(通産省管轄の財団法人原子力工学試験センターの試験所)の大型振動台を用いて耐震信頼性実証試験を実施している。これは加圧水型及び沸騰水型原発のほぼ実物大モデル−各原子炉容器や格納容器、主要配管など−を実際に振動させて、その健全性を評価したものである。この実証試験の評価結果をまとめたものが下の表だ。これらの評価結果から「巨大地震がきても実機の設備は十分に機能を果たし、大丈夫である」と結論付けている。

 ●この結果から本当に「大丈夫」と言えるのか

@揺れ(地震)の大きさが不適当である

 阪神大震災は震度7、M7.2の直下型であった。これと直接比較できる直下型の実証試験はM6.5のものである。Mで数値が「1」違うと、地震のエネルギーでは30倍の差が生じることを考えれば、この結果を持ってM7.2の直下型地震に原発が耐えられるかどうかは判断できない(M7.2はM6.5の約11倍のエネルギーに相当する)。※M8.5 やM7.5の試験もあるが、これには遠地・近地という条件が付いており、直下型とは異なる。また、揺れの各方向(水平・垂直)での強さによっても評価は違ってくるが、このパンフレットでは不明である。

A原子力発電所というトータルな評価ではない

仮に各機器が単独では健全性を保ったとしても、相互の関連で問題が生じる可能性は否定できない。いわゆる共倒れである。地震に限らず過去の事故の事例を見ると、この共倒れになっていることが多い。

Bこの試験は核分裂をしていない静的状態のもので、模擬試験に過ぎない

これは言うまでもないだろう。実際には各機器は数百℃という温度によって熱せられた状態にある。地震の揺れによって制御棒が挿入され核反応が停止すると、急激な温度低下が起こる。このような動的な状態で揺れが加わっても大丈夫かどうかはわからない。

C老朽化が進む高経年炉の耐震性はどうなのか

今もっとも懸念されているのがこの老朽原発の安全性である。長年の運転でボロボロ になっている蒸気発生器細管(この試験では細管は評価対象外)、脆化の進む原子炉容器などが、M7.2直下型地震に果たして耐え得るのか。また、老朽原発の延命措置として取り替えられた蒸気発生器との接合部の安全性はどうなのか。この交換の際、穴を開けた格納容器の気密性はいざという時にも保たれるのか等など、極めて重要かつ深刻な問題を孕んでいる。


これらのことを考えると、とても通産省が言うように「大丈夫」とは思えない。各電力会社が“お上のお墨付き”として事あるごとに持ち出すこの実証(?)試験は、今や不十分なものであり、早急に検討し直す必要があるだろう。いや、事態はもっと切迫しているかも知れない。近畿が地震の活動期に入ったと言われる現在、少なくとも老朽化が懸念される原発は即刻停止すべきではないだろうか。

最後にもう一つ付け加えておく。「原発は頑丈な岩盤の上に直接建設されているから大丈夫」という宣伝がある。しかし直下型の場合、その岩盤自体が崩壊する可能性があり、その時には全くのお手上げである。「岩盤は崩れない」という前提の上に原発は建っているのだ。

」」」」」」」」」」」」」」」」」」」オ、
・★阪神大震災の時の各電力会社のコメント・、
・関西電力:原子炉本体から配管まで実際に・、
・ 共振させて設計しているので、耐震性に・、
・ は自信を持っている。        ・、
・東北電力:あの程度の地震では安全性に問・、
・ 題はない。十分耐えられる設計になって・、
・ いるし、必要なことは普段からやってい・、
・ る。(傍点筆者)          ・、
・中部電力:原発は岩盤上に直接建設される・、
・ し、立地地点に合わせて個別に耐震設計・、
・ されるので、安全性には自信がある。 ・、
・彼らのこの言葉は記憶にとどめておこう。・、
」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

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