1999/11/05. 2000/04/04改稿

新たなエネルギー供給の未来

私達人類が使うエネルギーの総量は、地球に降り注ぐ太陽エネルギーの時間にしてたったの20分でその1年分に相当す る。
(濱川圭弘立命館大学副学長・談)
 
上記の左図が現在、電力会社によって我々に供される電気エネルギーの実際の供給構造である。今まさに、この瞬間にもわれわれが望むと望まないとにかかわら ず、原子力によって膨大なエネルギーを供給されている事がわかる。これは否定すべくも無い事実だ。しかし、それは、そうしようとした人間の力や意思、さら にはそこに資金が投じられたからに外ならない。

では、これの図を念頭においてその問題点を検証してみよう。
 
電気は必要な時に必要なだけ作らなければいけないという困った条件がある。それに対応する(供給義務規定)というのが電力会社の言う安定供給である。決し て、余分に作れと言う事ではない。

しかし、見て分かるように電力は決して安定的に使われているのではない。夜間は少なく、昼間、沢山使われているのである。原子力がベース電源と されているのは簡単に出力調整が出来ないと言う事と相対的に燃料費が少ないと言う理由でそうした方が電力会社に都合が良いからである。

さらに、問題とされなければならないのはその中身である。夜間電力の原価割れの価格での安売りが行われている事を指摘しておきたい。原子力発電 の発電原価は国が出している資料でも9円と言われているが、それが何と4円ほどで売られているのだ。これは明らかに発電原価を割っている。これは裏切り行 為に近いと思う。

これによって、夜間電力の底上げが行われている事を忘れてはいけない。これは無駄である。単に湯を沸かすだけなら太陽熱温水器で十分である。風 呂で使うお湯の温度はせいぜい50度までであるし、皿を洗うのにもそんな高温のお湯は必要無い。

何故、発電原価を割ってまで売られねばならないのか。その理由は作りすぎているからに他ならない。止めれば良いのである。しかし、止められない のである。さらに原子力と言う電源には運転時に核廃棄物が出来てしまうという厄介な問題がある。この問題はいまだに全く、解決していない。また、処理費用 は現在の電気料金には入っていない。

そうした電気を経済的でお得ですと言いながら何も知らない消費者にテレビで宣伝して売りつけているのである。これ反社会的な犯罪行為と言わずし て何というのか私は知らない。

また、ピークが高くなっているのを押さえるためにどう言う事が行われているかと言うと発電余力の有る夜間に火力発電所を動かして(これによって CO2の排出は確実の増える)揚水発電の為に水を揚げているのである。これは原子力で揚げているという場合も多々ある。

これは昼間のピーク対応のためでこれによって余分な発電所を増やさずに済むと言う理由を挙げているが、実はこの揚水発電所を作るために自然環境 が破壊されるのである。また、この発電所の稼働率たるや3〜5%ほどで、発電原価は50〜100円ほどになる事は関係者の間では周知の事実である。

公式に明らかにされている数値でも、東京電力の試算ではピーク対応の揚水発電所の発電原価は10パーセントの稼働率で1KWhあたり33,4 円。関西電力の火力発電所のピーク対応発電原価は試算値で同じく33,1円ほどである。 実際の稼働率は5%ほどと言われている。これは電力会社がこの時間帯に発電する私たちの発電所から買い取る電力価格よりも高いことに注意されたい。

テレビで大宣伝されているエコアイスというのもこれと同じで単に設備の稼働率を上げてコストを下げ昼間の需要を夜間に移行させる事が目的である に過ぎない。

また、ここは意見の分かれるところであるが、原子力の利点としてCO2の排出が少ないと言う点が挙げられている。が、これには核燃料を環境を破 壊しながら、掘り出し、精錬し、濃縮し、運搬し、使った後に処理する為に使われる化石燃料の排出CO2が妥当な数値では算入されていないと見て良い。

たまたま、事故が起きていない事と運転時にCO2の排出が無いと言う木を見て森を見ないいい加減な詭弁で原子力を推進すると言うのは愚行の以外 の何物でもない。そして、これが人間がしてきた事なら変える事だって出来るのだと私は思う。時間は確かに掛かるだろうけども・・・。

と言う事で、右の図に話を移そう。

考え方を変えるのである。これは直ぐには無理であるが、将来こうした電源を作ろうとそれなりに金を掛ければ不可能ではない未来のエネルギー供給 のあり方である。安定的に使っていないならその必要に応じて不安定な電源をも取りこんだベストミックスを考えてみよう。
 

:注意:ここでは上記の理由から原子力をそのオプションから外して話を進める。
 





大前提となる考え方

現時点では我々はエネルギーに対して正当な代価を支払っていないと言う事を納得しなければならない。それは、基本的に2億年 を掛けて地中に貯め込まれた化石燃料=バオイマスによって固定化され炭素にエネルギーが乗っているものを使っているということから、これは本来、再生すべ き責任が使用者にあるということである。もし、使うなら少なくとも出てくる炭素の固定化費用を負担すべきだと言う事である。

こうした既存のエネルギー資源=化石燃料に対して所謂、再生可能エネエルギーはCO2の排出が無いと言う事からエネルギー資源としては基本 的に優遇されるべきであると考えて話をすすめる。


「変動するベース電源」

現時点では融通の利かない原子力と言う電源をベース電源としているが、これは出来る限り小水力などで置き換えて、これを社会的な必要性にはマッ チしないがコスト面では十分に競争力の有る風力で置き換えていけば良いと考える。足りない分は後に述べるミドル電源で賄うこととする。

 ※このほか環境負荷の少ない地熱や流れ込み式小水力と言う「変動しないベース電源」ってのも有るんですよ。

「ピークは太陽光で」

また、昼間の需要のピークは太陽光発電で置き換えれば問題はさらに簡単である。

太陽光発電は一見、コストが高いとされているがそれは単独で考えるからであって、こうした社会的な観点から見れば需要のピークを押さえると言う 効果が大きく現時点でもそのピークカット効果は既に十分にコストに合っていると見られる。(現時点での発電原価は金利込みで考えて100円程度。新築時の 屋根材として設置すれば20年後の屋根吹き替え費用を削減できるために買い取り価格25円でも原価償却できる)

「変動を吸収するミドル電源」

問題はその中間をどう埋める下と言う事になる。これは、現時点では火力が中心になる。その中でも最も効率の高いLNGコンバインドサイクルを使 うべきだと考える。LNGコンバインドサイクル発電は最も効率の高いものでは熱変換効率が55パーセントにまでなっているし、その特性から考えて出力の変 動にも強いことが分かっている。

この電源に使われるLNGは化石燃料であるのでCO2の固定化を行う事が必要である。また、現時点ではゴミとして捨てられている生ゴミをバイオ マス原料としてガス化してこれに利用する事も可能となる。バイオマスガス資源は短いサイクルでCO2を環境中で還流させるものであるから環境負荷は計算に 入れなくても良い。むしろ、そのまま放置されてメタンガスなどとなって環境中に放出されることを考慮すればその利用は大変な効果があるといって良い。

また、近い将来においては家庭用の燃料電池が実用化される。これが各家庭に入る事になれば電気とお湯が同時に供給されるので総合的に見れば効率 は80パーセントまでに上がることになる。これは大型の発電設備に比しても十分に競争力を持つものとなる。

この時にはバイオマスで作られたガスが供給されるかもしれないが、むしろ、CO2の入っていないガス、つまり、水素ガスが供給される方が望まし いのかもしれない。問題は水素が非常に軽い小さい分子である為に既存のガス管では漏れて出るロスが大きい事が考えられるが、これについてはその配管の材質 や工夫によってこの問題も解決する事が出来るだろう。

使うところで作れば送電によるロスも無いのである。

さらに、ここで言えるのは分散する事が集中するより効率が高くなると言う事なのだ。これは今までの常識とはかけ離れた考え方に見えるが、実は非 常に理論的に正しいのだ。理由は大元のエネルギー源が太陽エネルギーと言う希薄なエネルギーに依拠するシステムになっているからだ。

これまでのシステムは化石燃料と言う太陽エネルギーの缶詰めを使うことが前提であるから集中しているほうが一見効率的に見えただけの事であっ た。この文明の有り方は、このまま食いつぶさなければという条件の元にではあるけれど、人類の歴史の中でほんの一瞬の事にしか過ぎないのだ。

このまま、行けばどうなるか・・・。

文責・中川修治


おまけ: 老人の会話

うんうん、お日様からのエネルギーね。そのエネルギーは今、どう言う風に地球の上に住んでいる我々が使っているのかと言うと、なんの事は無い、 これが全く、大昔と変わらないんだね。

一番大きいのは、農業生産と言うことでしょう。それに林業ですな。

それが、この日本の場合、何と呆れた事にその生産量が減っている・・・。米余りって事で、減反です。林業は儲からないから手を入れずに山荒れ放 題。ま、何の事は無い太陽エネルギーの缶詰めみたいな化石燃料が馬鹿安ですから、致し方ないですわ。

経済学者でこの事をちゃんと認識している人はそう多くないですよ。近代経済学はこの点を全く無視してますものね。あれは、人間社会のお金の取り 決めに関しての問題で、それを支えるエネルギーについては全く考察外で進めてます。
 

ま、ここで描いている未来のエネルギー供給と言うのはそれを全面的に取り入れて行こうと言う考え方ですからな。昼間に需要が多いと言うのはそれ は変わらないでしょう。人間が活動するのは基本的に夜間ではなく昼間ですからね。

で、夜間の電力需要はもっと減るでしょう。理由は、無駄な電気温水器が減るからです。お湯を電気で沸かすなんてのは愚の骨頂です。ま、それは電 気の価格が高くなったら必然的に減りますけどね。

と言う事で早く寝るか・・・。



2000/04/27 asahi.com

                     チェルノブイリ原発事故から14年、死者は5万5千人 01:02a.m. JST April 27, 2000

  チェルノブイリ原子力発電所の事故からちょうど14年がたった26日、ロシアのショイグ副首相は、事故処理にあたった旧ソ 連の約86万人の作業員のうち、放射線障害などでこれまでに5万5000人が死亡したことを明らかにした。死亡した作業員が眠るモスクワ近郊のミチンスコ イエ墓地での追悼式典で述べた。

  同氏によると、旧ソ連全体から事故処理に参加した作業員のうち、25万人がロシア市民で、1万5000人が死亡、3万人が いまも障害に苦しんでいるという。事故処理に従事した作業員の死者について、ロシア保健省は20日、3万人以上がロシア国内で死亡したと明らかにしてい た。
 

あまりに大きな犠牲である。核というものから得られるメリットと比べてこうしたリスクを負うべきなのか?確かに原子力発電所 の運営者は事故を起こさないように最善の努力を行ってはいるだろうが、私はその事故の場合のリスクは余りに大きすぎると思う・・・。


2001/02/16

やれば出来るんですよ。分散型でそれぞれが責任を持つシステムだって・・・、かつて構想していた事がだんだんと現実化する。
 

 2001年2月16日(金)付

http://www.shimbun.denki.or.jp/newshl/top.html#nh1
http://www.shimbun.denki.or.jp/backno/010216.html

電中研、双方向配電ネットワーク構築へ ― 分散型電源もフリーアクセス   

 電力中央研究所は、「需要地ネットワーク」と呼ばれる新しい系統システムの開発を加速する。パワーエレクトロニクス技術と情報通信技術を 配電系統に
取り入れ、需要地での自律的な電圧制御や分散型電源のフリーアクセスの実現、新たな需要家サービスの提供など、エネルギー・情報を融合した双方向ネット ワークを構築する。今後、概念設計と並行して実証試験を開始、二〇一〇年までにネットワーク構成や運用方式を確立する。需要側、供給側双方にメリットをも たらすネットワークとして電力会社に提案する考えだ。

 電中研では、太陽光発電やマイクロガスタービンなど分散型電源の系統連系が今後増加し、既存の配電系統での電圧制御が難しくなることが予 想されることから、需要地ネットワークの基礎的な検討を進めてきた。

 需要地ネットワークは、配電用変電所から需要家に向かって樹枝状に伸びている配電系統を、ループコントローラー(小型電圧制御装置)に よってループ
化し、需要地の下位系統で自律的な電圧制御を行う新しいネットワーク概念。その際、エネルギー供給サイドと需要家の双方向的な情報交換を可能にする「需給 インターフェイス」を系統各所に配置する。

 電中研では今後、二〇〇二年までにネットワークの概念設計を終了させるほか、需要地系統を模擬した実験設備を設置し、実証試験を開始す る。

 需要地ネットワークについては、全所横断的な開発体制でのぞむとしており、二〇一〇年には実運用に移行できるまでに仕上げる。

 需要地ネットワークが実現すれば、需要家のエネルギー利用情報をもとにした電圧管理だけでなく、無効電力などのアンシラリーサービスを分 散型電源に負担してもらうことも可能になる。また、需要家の効率的なエネルギー利用を支援する情報提供サービスなど、新たな需要家サービスの創出にもつな がる。

 電力会社にとっても、系統の自立的な電圧制御や分散型電源が電圧管理の一部を担うことで、発電・送配電設備投資の繰り延べが期待できるメ リットもあるという。

 電中研では、エネルギー市場の自由化により需要家が最適なエネルギーを選択する時代がくることを踏まえて、需要地ネットワークをはじめ、 需要家の効率的なエネルギー利用を支援する分野の研究に力を入れる方針だ。

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しかし、まだまだ。だって、生産と消費が分かれたまんまです。そして電力会社は電気を供給する側だという意識から抜けていません。
 

2004/11/03 追記

 元・大阪ガスの研究所の理事だった山藤泰氏、が飯田哲也氏主催の環境政策研究所・ISEPのメルマガに投稿されたものです。

太陽電池の高い経済性

関西学院大学大学院総合政策研 究科客員教授/ISEP理事  山藤 泰
 
 ロッキーマウンテ ン研究所を率いるエモリー・ロビンスが、彼の編著である 「Small is Profitable」という質量ともに大きな著作で、省エネルギーやデマンドサイド・マネジメントも含めた分散型エネルギー源には、207の経済的、社 会的メリットがあると主張している。その中で、一般に高い高いと言われている太陽電池が、これを系統の一部に組み込んで経済計算すると、非常な経済性を発 揮するという論を、具体例を示しながら説明しているので、若干紹介してみたい。

 太陽電池は、日中 のピーク時に発電するので、電力会社の高いピーク対応発電設備の容量を引き下げることができるというメリットは当然入っている。しかし、この外に、これが 系統に繋がっている場合、発電所からこの太陽電池設備までの送配電システムの負荷がその容量分だけ下がるために、その間の送電ロスを抑制できる。もしこの 系統の負荷が容量一杯に近くなっているとすれば、容量を増やすための設備投資を削減する、あるいは、繰り延べすることができ、電力会社はその資本コストを 引き下げることができる。また、系統の電流が下がるために、変圧器の温度が下がり、それだけ変圧器の効率が上がることになり、回避できる電力損失の量はさ らに大きくなるとする。発電所からこの太陽電池までの距離が離れていればいるほど、この損失削減効果は大きくなる。

また、面白い指摘もしている。 太陽電池はインバーターを経由して系統に接続されている。このインバーターに、系統に流れている無効電力を打ち消すような作動をさせることができるそう だ。無効電力を供給しても、電気メーターは回らないために、発電費用はかかるのに料金として請求できない電力会社は、無効電力の比率を下げるよう努力し、 投資しているが、インバーターによる無効電力削減が普及すれば、この投資を抑制することができるし、収入増加要因にもなる。

このようなメリットには、電力 会社の収益性を高める効果につながるものが多く、太陽光発電の普及に電力会社が補助金を出してもいいのではないかと思うようになっている。



現時点ではこうした価値は認められずに風力発電なども化石燃料の焚き減らし分の価値だけだとして電力は買い取り価格を3円ほどとしてきている。

補助金など貰わなくても私たちが日々送り出している電力が発電原価で評価されるならばそれは事業として成り立つのだから誰もが喜んで太陽光発電の設置に動 くだろう。

そして、それは何処の家の屋根にも何処の工場の屋根にも何処のビルの屋根にもそして壁面にも設置されるようになるだろう。それはそれを設置しているからと 他人に誇るようなものでもない。当たり前の風景になる。

       それが、皆さんの望みであると信じたい