1998/09/08 at MIYAZAKI

こんな不勉強を露呈する社説を載せる新聞があった・・・
下に引用するのは電力会社のPRではない。宮崎日々新聞と言うれっきとした新聞社の社説である。しかし、これを書いた方は本当に電力問題に関して取材した事が無い事を露呈していると言って良いだろう。おそらく、ちゃんと調べもせずに電力会社のご高説を伺ってそのまま書いたんだろうね。
 

1998年8月18日(火)付 宮崎日日新聞社説

                                             原発に依存する宮崎の夏

 猛暑続きの県内では電力消費量が急増し、一時間最大電力が七月三日以来断続的に記録を更新している。十七日午後四時からの一時問には過去最高の百三十一万四千キロワットを記録した。 その電源は何なのだろうか。 河川に恵まれている県内には水力発電所が多いが、消費量はこれらの発電所だけでは大幅に不足する。 増大する消費量に供給量が追い付かず、近年は鹿児島県・川内原発などに依存している。十七日の一時間最大電力も、六七%は川内原発から供給された。年間平均では六〇%近くの原発依存度になる。

それにしてもいい加減でがさつな数字の使い方をするもんだ。詐欺まがいのでっち上げ文章これに極まれりという典型的な、ジャーナリストとしての視点を欠いた最低のものと言える。

その理由は、原子力発電所のこうしたピーク時における発電総量における寄与率を都合の良い部分的な意味の無い数字を挙げて論拠としているように見せるトリックをつかっている点である。これは何の意味も無い数字で、初歩的な数字の使い方を意図的に誤っていると言う事だ。

本当に問題とされなけれるべきはこうしたピーク電力の総量それも九州電力の総発電設備容量に占める割合を問題としなければいけないのだ。調べてみれば分かるのだが実はピークに対応できない原子力発電所の設備容量は25パーセントにしか過ぎない。それを宮崎と言う部分を取り上げてその寄与率を比較すると言う暴挙を行っているのだ。

                                               水力発電では不足

 クーラーの効いた部屋で高校野球のテレビを楽しみ、不夜城のような夜更けの繁華街で遊べるのも、産業用も原発に依存しているわけだ。 こうした実態を措まえ、夏は身近な問題として原子力発電を考えるよい機会だろう。 平成十年版原子力白書も、二十一世紀に向けた原子力開発利用の全体ビジョン構築を念頭に、「国民一人ひとりにも原子力をどうするかを考えてもらおう」と、国民に呼び掛けている。 確かに県内には九州電力だけでも二十七の水力発電所がある。一ツ瀬は九州最大で上樵葉は日本初のアーチ式ダムだ。県営や企業の発電所も多い。 一九七五(昭和五十)年度までは発電量が県内消費量を上回り、余剰分は県外へ送電していた。電力供給県だったのだ。 しかし翌年度から逆転し、その後は消費量の増大に供給量が追い付かずに不足分は北九州など県外から供給を受ける移入県になった。川内原発が稼働した八四(昭和五十九)年夏からは、原発に依存している。送電の操作や送電線の能力によって、発電所と供給先が決められるのだ。

どういう実態か?私の家ではクーラーは使っていないし、高校野球を見てもいない。馬鹿騒ぎをする為に不夜城の様な繁華街に繰り出す事も無い。それはエネルギー問題を他人事と考え、金さえ出せば電力会社はそれを送ってくるものと考え省エネや環境の事を考えない人たちの事だろう?そう言った連中の為に必要なのが原子力発電所であって、そして、電源供給の選択のオプションとして原子力しか挙げない事に底知れぬ悪どい意図を感じる。


                                                県外から年60%も

 経済界の発展、企業誘致の増加、新設ビルの空調設備の拡充、家電製品の普及と大型化、生活の夜型化などから需要は増え続けた。 九七年度の場合、年間消費電力量六十億三千キロワットh内訳は産業用四六%に家庭用などの民生用が五四%だった。 これに対する県内の発電量は、発電施設の能力自体が需要を下回っている上、水力発電は降水量という自然に大きく左右され、不安定だ。 その供給電力の内訳は県内の水力発電が四一%なのに対し、原発を中心とした県外からが五九%も占めた。

重要なのはこの後の部分、本当はこの時間帯の九州電力の総使用量が問題なのだ。そして、そこにおける原子力発電所の発電比率こそがこうしたピーク電力使用量への原子力発電所の寄与率なのだ。これはその電源の構成比=設備容量比率こそが問題とされるべきなのだ。で、調べて見て分かるのは設備容量に占める原子力発電所の比率は実は25パーセントほどにしか過ぎないのだ。それをわざわざ宮崎分のみを取り出して原子力発電との構成比で見せると言う荒業をやってみせると言う詐欺まがいの文章をでっち上げたと言うのがこの社説のトリックなのだ。
 ちなみに、九州電力全体の九七年度発電量の電源別内訳は、原子力四八、LNGガス一九、石炭一六、水力八、石油七、地熱二%である。 日本で原子力開発利用が始まって四十年余りが過ぎた。五十一基の商業用原子力発電所が運転中で、全発電電力量の三分の一以上を賄う重要電源として定着している。米、仏に次ぐ世界三位の発電設備容量になる。 しかし、この間、動力炉・核燃料開発事業団の一連の事故・不祥事に象徴されるような多くの問題点が発生している。核燃料サイクルの問題もある。

 電源、地球温暖化防止対策として原発に理解を示す世論の一方で、強い潜在的不安を抱く人たちも多い。必要性は認めても、いざ自分の住む周辺への立地となると、〃ノー〃が大半を占めることになる。 国民合意の原子力開発利用推進への課題が多いのも事実だ。

情報が完全に公開されていない状況の中で形成された世論を前提にまるで地域エゴで反対派を一括りにするその強引な論理を恥と感じないこの社説の筆者をジャーナリストと認める事は出来ない。
青字部分・中川追記 
何も知らない人が読むと原子力は必要だと思わざるを得ない様になっている「社説」だ。(また、この宮崎日々新聞と言う新聞が宮崎県の大部分の人がこれしか読まないと言う新聞だから困るのだが・・・・)

最後の締めで推進の一言をっていないが、まさにこれはそう言っているのと同じ文章の構成であるし、それ以上にあくどい事を=やくざの脅しのような事をしている事が、聡明な読者諸君には分かるであろう。

そもそも、文章の構成自体が原子力が大前提である。それを疑う事自体を拒否している。即ち、その現実の延長線上でしかものをものを考えないと言うもっともジャーナリストとして恥ずべき行為をおこなっているのだ。

これに関する批判は●原発は地球を救わない●としてAokys氏が行っているのでそれをご覧頂くとして、再生可能エネルギーに関して補足しておく事にする。

この中で、Aokys氏は

  ●日照時間の日本一長い宮崎県は、風力発電と共に太陽光発電をもっと考えてみるべきである。

 ・建設や計画のすすむ高速道路をはじめ、公共施設には率先して太陽光発電の設置を試みるべきである。

と述べておられるが、それに加えて筆者の家にある太陽光発電(1995年2月17日発電開始、出力4.98kW)の実績から考えてみる。

この日は記録に依れば(発電以来、毎日記録している)、天気は晴れ、発電記録メーターではその前日が8398kW時、その23時間後には8416kW時を記録している。差は18kW時と言う事になるがこれは記録時間が1時間ほど短い、で、この1時間の発電量は2.5kW時ほどなのでそれを加えると20kW時と少しと言う事になる。(大体、この前後数日間は20kW時から24kW時の発電量を記録している)
 

131万4000kWを私の家にある発電所の規模で考えれば、41.2万軒分か・・・。宮崎県の人口が100万人いるとして4人世帯で考えれば家が25万軒。で、1軒に5kWのシステムが載っていれば半分は賄えた計算になる。で、工場とかの屋根も含めればどうにかなったんじゃないかな。(そうか〜、出来るじゃん。やってやれない事はないね)

そこまで太陽電池を作れないって?そんな事は無いだろう。ま、一度にそれだけのものを用意する事は出来ないだろうが・・・。将来に向けて何処に金を使うかによって決まってくる。毎年毎年、積み重ねていけば必ずそれは達成できると言う事だ。社説の筆者の言うように九州電力にお願いして電気を原発で作ってもらえばそれだけ原発の比率は上がり、どうしようもない事になるのは明らかだろう。

むしろ、この宮崎ですべき事は、将来の事を考えて屋根と言う屋根の全てに太陽光発電を載せられるように政策的な誘導策を講じる事ではないだろうか? 先行投資者が損をしなければならない今の補助金制度を改め、宮崎県独自の支援策を講じると言うのが太陽の国宮崎のするべき事だと言うのは誰が考えても真っ当な提案だと思うが、如何なものであろうか?

そうすれば、今、問題になっている木城町に建設を進めると言う揚水発電所は全く、不要になることは誰にだって分かることである。自然を破壊してダムをつくり、一キロに10億円も掛かるような馬鹿な高圧送電線を引く必要も無いのだ。

さて、現在、太陽光発電の5kWシステムの価格は500万円を切っている。で、この価格は年間1万軒ほどの生産によって成し遂げられた価格で、これが年間10万軒設置出来る価格になったら300万円ほどになるだろう。(200万円かもしれない)

年間5000kW時発電して1kW時25円の単価と考えれば12万5000円。300万円を24年で償却できる。(年間5500kW時で単価30円なら16万5000円、設備価格200万円なら12.12年で償却)

 既に、屋根材として太陽電池を設置するなら、現在の屋根材では20年経って必要とされる屋根の吹き替えが不必要なので、十分経済的には引き合うのだ。 ならば、新築の住宅の屋根に設置するのに余分な負担が無いような支援策を講じるべきだと思う。そして、そうした事を議論するのが議会と言うものであろう。

こうした情報をこそ、みんなに提供するのが報道機関としての新聞の仕事だろうに・・・。確認はしていないが宮日新聞の株主に九州電力がなっているらしい。こうした独占企業が報道機関の株主になる事自体が許されてはならないだろう。これが事実ならば報道機関の在り方として実に由々しき問題である。



さて、以下はこの宮崎日々新聞の社説に危惧を念を持った有志が宮日新聞社にたいして出した質問(下記赤字)に答えた回答である。 (これに関しては詳しくはAokys氏のHP参照)

1. 「年間平均では六〇%近くの原発依存度」「九州電力全体の九七年度発電量の電源別内訳は、原子力四八、LNGガス一九、石炭一六、水力八、石油七、地熱二%」とされています。
イ、これは原発をフル稼働させた結果、他の電源の稼働率が自動的に下がったという自明のことと思われますが、この説明もなしに掲載されたのは、どの様な意図があってのことですか?

ロ、昨年起きた一連の北薩地震で住民が求めた“川内原発停止点検”を、九州電力は受け入れませんでした。宮崎県は川内原発の風下になりやすいのでとても心配しました。「年間平均では六〇%近くの原発依存度」とは、安全性を軽視しながら原発が運転されていることのあらわれと思いますが、貴社はどう思われますか?
ハ、私たちは、日常的には原発がなくても原発以外の電源で電力需要は十分まかなえると考えます(別紙―1参照)が、貴社は、原発がなければ日常的に電力が不足するとお考えなのですか?

2 「電源、地球温暖化防止対策として原発に理解を示す世論」とは、国民の多数は、電源、地球温暖化防止対策として原発に理解を示していると受け取れます。
イ、宮日加盟の日本世論調査会が行った世論調査結果が、1997年10月20日付けの貴紙上で報道されました。これによると、地球温暖化防止対策として原発を増設することに明確に意思表示した人のうち、“反対”の回答が“賛成”を大きく上回っています。「電源、地球温暖化防止対策として原発に理解を示す世論」とは、いつ、どこで、どの様に行われた調査によるものです?
ロ、私たちは、原発は取り返しのつかない事故の危険性をはらんでいる等の理由で、電源として不適当であると考えますが、貴社は適当とお考えなのですか?
ハ、また、原発はウラン採掘から核廃物の管理に至るまで石油を使わなければならないことと、大量の温排水によって海水を7度Cも上げ、海水中に溶け込んでいた二酸化炭素を大気中に放出させる等の理由で温暖化防止に役立たないと考えます。(別紙―2参照)貴社の考えをお聞かせ下さい。

3. 原発は「重要電源として定着している。米、仏に次ぐ世界三位の発電設備容量になる。」とされていますが、米国では1979年のスリーマイル島原発事故以降、原発の新規発注は全くなく、住民投票で閉鎖された原発もあります。また、米仏とも高速増殖炉から撤退していますが、なぜそのことに触れないのですか?

4. 「クーラーの効いた部屋で高校野球のテレビを楽しみ、不夜城のような夜更けの繁華街で遊べる」とありますが、このような生活はエネルギーを浪費し続けると思います。貴社はこのような実態を肯定されているのですか?

5. 「水力発電は降水量という自然に大きく左右され、不安定だ。」とされていますが、かっては“水力が主で火力が従”という時代がありました。貴社が「降水量という自然に大きく左右され、不安定だ。」とされている根拠は何ですか?

6. 「経済界の発展、企業誘致の増加、新設ビルの空調設備の拡充、家電製品の普及と大型化、生活の夜型化などから需要は増え続けた。」として、これらへの電力供給を述べられていますが、増え続ける需要こそ問わなければならないと思います。貴社はなぜそのことに言及されないのですか?

7. 「九州電力全体の九七年度発電量の電源別内訳は、原子力四八、LNGガス一九、石炭一六、水力八、石油七、地熱二%」とされています。
イ、揚水発電は投入された電気の70%程しか電気を生み出しません。揚水発電は内訳の中ではどこに入れてあるのですか?
ロ、1998年10月10日付けの貴紙に、小丸川揚水発電所計画の記事があります。この中に「夜間の余剰電力で揚水」とありますが、これはどこの電源による余剰電力なのですか?

8. 「動力炉・核燃料開発事業団の一連の事故・不祥事に象徴されるような多くの問題点が発生している。核燃料サイクルの問題もある。」とされています。
イ、「多くの問題点」とは具体的にどのような問題点なのですか? 
ロ、「核燃料サイクルの問題」とはどのような問題なのですか?
ハ、上記イ、ロはそれぞれどのような意味を持っているとお考えなのですか?

9. 「必要性は認めても、いざ自分の住む周辺への立地となると、〃ノー〃が大半を占めることになる」とあります。
イ、これは、串間市のことを連想させますが、串間市のことですか?
ロ、串間市以外であればどこですか?
ハ、貴社は、このことを地域エゴとお考えですか?
ニ、また、地域は〃ノー〃と言うことはできないとお考えなのですか?
ホ、全国の各地域で「いざ自分の住む周辺への立地となると、〃ノー〃が大半を占めることになる」ということは、全国どこでも立地を受け入れるところはないということになり、国民全
体が原発は〃ノー〃ということになると思いますが、貴社はどのようにお考えなのですか?

10. 社説で使われている数字、資料のほとんどが九州電力の資料のようですが、違うものがあれば挙げて下さい。

以 上

    1998年10月16日
    小丸川の水を考える会(高鍋町)
    原発いらん・みやざき(宮崎市)
    原発反対市民ネット・日南(日南市)
    いまならまにあう住民の声(日南市)
    綾の自然と文化を考える会(綾町)
    原発を考える都城市民の会(都城市)
    くしま21(串間市)
    幸島自然苑(串間市)
    他有志

    〈連絡先〉〒889-2311 宮崎県日南市大字伊比井298-1
         電話0987-29-1641
         宝蔵俊二



●宮日「社説」の件その後
 
・10月29日、宮日は回答書とその説明の場は設けましたが、こちらの要請に反し非公開。
・宮日は総務局次長、論説責任者ら4名出席、こちらは各団体から約10名の出席。
・約5時間のやりとりをおこなった。回答への反論は「抗議及び要望書」にまとめた
のでそちらを参照を。
・どうにも頼りない宮日でした。当日は、毎日、西日本、読売、朝日が取材にきまし
た。記事にしたのは毎日と西日本。読売と朝日は宮日が非公開というので記事にしな
かった。
・宮日の非公開の理由は「公開にする必要がない」「公開する根拠がない」という理
由にならない理由。
(以下宮日の「回答書」全文と私たちの「抗議及び要望書」全文)
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回 答 書 1998年10月29日
宮崎日日新聞社

1998年10月16日付で提出された「公開質問状」について以下の通り回答いたしま
す。ご理解をお願いします。

1・イ・意図はありません。九州電力の最も新しい資料を使いました。
  ロ・地域住民の不安及び安全性については、掲載しています。
  ハ・現状ではまかなえても、将来にわたっては電源の有限性もあります。
    このままの経済活動が続けば電源供給の不安も否定出来ないと思います。
2・イ・手持ちの資料によります。「電源、地球温暖化防止対策として原発に理解を
示す世論の一方で、強い潜在的不安を抱く人たちも多い」の部分は、「世論」を「意
見」にした方がより適切だったか、と思います。
  ロ・読者には賛成、反対もいます。安全性については十分注意を喚起する記事を
書いております。
  ハ・今後の執筆の参考にします。
3・承知しています。限られた行数の問題もありました。
4・肯定しません。現実を示しました。
5・降水量に左右され、季節変動、年間格差が大きいと聞いています。
6・地域経済の発展、均衡ある県土の振興には一般家庭向けから産業用、医療現場ま
で安定した電力供給が将来的にも不可欠です。企業誘致が進めば雇用の場の創出であ
り、若者の定住につながります。一次産業の消費量も拡大します。「生活の夜型化」
については、現実を示しました。
7・イ・水力発電と理解しています。
  ロ・九州一円、特に余っているところからと聞いています。
8・イ・「高速増殖炉原型炉『もんじゅ』のナトリュウム漏れや、東海再処理工場ア
スファルト固化処理施設の火災爆発事故および一連の虚偽報告など、動燃改革の要因
となった諸問題」等です。
  ロ・「使用済み燃料の管理や放射性廃棄物処分対策といった核燃料サイクルをめ
ぐる諸問題」です。
  ハ・安全性への疑問です。
9・イ・違います。
  ロ・地域は特定しておりません。
  ハ・考えません。
  ニ・考えません。
  ホ・全国の原発建設の是非を問う住民投票が行われたところでは、反対票が賛成
票を上回っていることは承知しています。
10・九州電力、電事連の資料などと、手持ちの資料を使いました。
  最後に
 原子力発電の現状と課題を指摘することで、読者に原発を考える上での参考にして
もらうのがこの社説の狙いでした。
 しかし、一部の表現、説明不足もあって誤解を招いた点についてはお詫びします。
 今回の意見を今後の執筆活動に生かしていきたい、と考えております。
以 上



 

                                抗議及び要望書

宮崎日日新聞社 社長 長友貫太郎殿

前略

 先日は公開質問状に対する回答書、及び説明の場を設けて頂きました。しかしながら私たちの要請
に反し、貴社は回答書を公にされようとせず、説明の場は一方的に非公開とされました。情報公開を最
もリードしなければならない立場にある貴社のこの行為は、情報公開の流れに全く逆行していると言わ
ざるをえません。また、貴社は説明の場で「社説に誤解を招く不適切な文章があった。」と認められたに
もかかわらず、貴紙上での経緯の説明や訂正も拒否されました。このことは、読者に事実を伝えるとい
う社会的使命を放棄されたものと認識せざるをえません。まず回答書への問題とは別に、これらのこと
に強く抗議するとともに、貴紙上での経緯の説明と訂正を求めます。

 回答書及び説明でも、私たちの疑問は晴れないものがあります。今回のことをふまえ、以下のことを
抗議も含め要望します。

1. 九州電力は串間原発浮上直後から、貴紙上において「宮崎県はかっては水力王国で電力移出
県、今は電力移入県で主に川内原発に依存」として原発推進キャンペーンを行ってきました。九州電力
はこの表現を“戦略”と称しています。貴紙が「社説」で同様の表現を使われたのは、九州電力の原発
推進に加担するものと言わなければなりません。今後この表現を使われないよう求めます。

2. 九州電力の原発推進キャンペーンの柱の一つが、「九州の電気の約48%は原発によるもの」という
表現です。この表現は、人々に“原発がなければ電力不足がおきる”と連想させることを意図としてい
ます。しかし貴紙も確認されたとおり、“九州の電気は原発なしでも十分まかなえます”。原発は出力
調整をすると、より危険なため、次の点検時まで昼夜フル稼働されています。したがって、他の電源の
稼働率が自動的に下がるのは自明のことです。この説明もなしに原発の発電割合を言われるのも、九
州電力の原発推進に加担するものと言わなければなりません。今後この表現を使われないよう求めま
す。

3. 九州電力の原発推進キャンペーンのもう一つの柱は、「原発は、二酸化炭素を出さないから地球温
暖化防止に有効な発電施設」というものです。核反応自体が二酸化炭素を出さないことは自明のこと
ですが、原発を動かすにはウラン採掘から原発建設を経て核廃物の管理に至るまで様々な場面で石
油を使わなければなりません。附属施設としての揚水発電所やバックアップ電源としての火力発電の
建設などにも多大なエネルギーを要します。また、原発は動かせば動かす程、何十年何百年は言うに
及ばず、何万年何十万年と続く放射能を子孫に残してしまいます。これを管理するには、無限ともいえ
るエネルギーを費やすことになります。また、大量に捨てられる温排水は海水を7度Cも上げ、海水中に
溶け込んでいた二酸化炭素を大気中に放出させてしまいます。また、日本世論調査会は、地球温暖化
防止対策として原発を増設することに対する調査結果を昨年公表しました。それによれば、はっきりと
意思表示した人のなかでは“反対”の回答が“賛成”を大きく上回り、世論も原発増設に反対の方向で
す。このことは、貴紙も確認されたところです。「原発は、二酸化炭素を出さないから地球温暖化防止に
有効な発電施設」といった表現は、未来に無責任な原発推進論者の言うことであり九州電力の原発推
進に加担するものと言わなければなりません。今後この表現を使われないよう求めます。

4. 九州電力の玄海原発・川内原発でのひとたびの大事故は九州を壊滅させます。特に川内原発は、
行政区こそ違え宮崎県にとっては地元の原発です。宮崎県は位置からしても風下になりやすいところ
です。たびたび起こる事故に加え、蒸気発生器の問題や地盤、群発地震、プルサーマル、使用済み燃
料といった問題、さらに老朽化や廃炉の問題など多くの問題をかかえています。以前にも増して、宮崎
県を含めた地域の人々の安全に立脚した報道を求めます。

5. 原発先発国のアメリカでは、1979年のスリーマイル島原発事故前から原発の新規発注は全くあり
ません。現在動いている原発は、1973年以前に発注されたものです。蒸気発生器での放射能漏れで
閉鎖された原発や住民投票で閉鎖された原発、また避難計画の問題が解決できず建設されただけで
閉鎖された原発さえあります。また、新政権が原発撤退を表明したドイツをはじめ、スウェーデン、イギ
リス、イタリア、スイスなども撤退に向かっており、原発大国といわれたフランスでさえ政府内部で撤退
を議論し始めています。
 高速増殖炉からもアメリカ、フランス、イギリス、ドイツなど安全性、経済性、技術性の困難から撤退し
ています。貴紙も述べられた「高速増殖炉原型炉『もんじゅ』のナトリュウム漏れや、東海再処理工場
アスファルト固化処理施設の火災爆発事故および一連の虚偽報告など、動燃改革の要因となった諸
問題」は、動燃を組織替えすればいいというものではなく、高速増殖炉路線のそのものの破綻こそ示し
たはずです。ナトリウムを冷却剤に使うことなどによる超危険性、技術的困難性、複雑性、不経済性が
明らかになり、さらに2倍に増殖するのに90年もかかるなど非現実的なものであることも分かってきまし
た。また、一連の事故は、事故隠しを平然と行うなど国民不在でもありました。私たちは、このような密
室行為によって生命も財産も奪われたくありません。世界の流れは、原発定着ではなく脱原発です。
原発や高速増殖炉そのものがかかえる問題や世界の脱原発の流れはもちろんのこと、原発先発国や
福井県・福島県あるいは玄海町・川内市といった原発先発県・自治体などがかかえる実状の報道こそ
貴紙に求められている社会的使命のはずです。それらの報道こそ望みます。

6. 地域経済の発展、均衡ある県土の振興は私たちも望むところです。しかし、右肩上がりのエネルギ
ー消費を続ければ地球環境が行き詰まることは明らかです。私たちの身の回りでも、発展や振興ある
いは開発というの名のもとに自然が少しずつ失われ、悲鳴を挙げているのも事実です。宮崎県は“太陽
とみどりの国”と言われます。日向の国という名に恥じない日照時間、綾の照葉樹林や亜熱帯植物も
ある串間市の石波海岸樹林などに象徴されるみどり、日向灘にそそぐ多くの河川など自然に恵まれて
います。これらと共に持続できる社会を展望し、太陽光、風力、バイオマス等再生可能なエネルギーへ
の提言をしていくことこそ必要なのではないでしょうか。またそれらと共に、間近に迫った電力自由化後
のエネルギーミックスを見据えた展望・提言こそ貴紙に望みます。

7. 揚水発電は投入された電気の70%程、あるいはそれ以下しか電気を生み出さないことは、貴紙も
確認されたところです。電気で電気をつくるため、他の発電所とは大きく異なります。近くの大規模電源
が前提となります。その電源が原発であることは、原発が出力調整できない硬直化電源であることか
らも明らかです。小丸川揚水発電所計画は川内原発との関連だけでなく、串間原発の受け皿ととらえ
られます。九州電力が串間原発をあきらめていないことは、本年2月九州電力松村副社長が「串間原
発は撤退ではない」と発言したことからも明らかなことです。揚水発電所計画はダム建設による川その
ものの破壊や計画地周辺の自然生態系破壊を招きます。また送電鉄塔計画により綾の照葉樹林など
の破壊も伴います。原発をつくりすぎた結果、全国各地で揚水発電所計画が住民を悩ませています。
揚水発電所の本質と共に、全国の実状や本質をえぐった報道こそ貴紙に求めます。

9. 原発は、通常運転でも必ず海にも空にも放射能をまき散らします。大事故の危険性もあります。こ
のため、立地指針でも人口密集地は避けられ遠隔隔離がとられています。しかし、そこにも人が住み
生活があります。原発は地域のいのちや生活を踏み台にしてしか成り立ちません。全国の原発候補地
となったうちで、20カ所を越える地域が原発に“ノー”を示してきました。20年以上にわたって原発に
“ノー”を言い続けている地域さえあります。この6年数カ月の間、串間市民も県民も九州電力の串間原
発構想などによって安穏とした生活を妨げられてきました。しかし、私たちだけでなく地域の人々も、原
発問題をとおして、いのちを大切にし共に生きることを学んできました。「社説」の「必要性は認めても、
いざ自分の住む周辺への立地となると、〃ノー〃が大半を占めることになる」という部分は、串間の地
域エゴと受け取れました。今後このような差別的発言がないよう貴紙に求めます。

10. チェルノブイリ事故が起こってから12年、串間原発構想が浮上してからでさえ6年が経過していま
す。それにもかかわらず、「社説」の基になった資料が「九州電力、電事連の資料などと、手持ちの資
料」だけしかなく、原発反対側の資料がなかったのは大きな驚きでした。原発問題に限らず、様々な角
度から問題点をえぐり知らせていくことが貴社には求められているはずです。九州電力、電事連の資料
などが使われるだけなら、九州電力や電事連の広告そのものであり大本営的情報の垂れ流しです。
今回の「社説」は、社説の形をした九州電力の原発推進広告と受け取れました。また子会社の実施と
はいえ、日常的に行われている九州電力とタイアップした「宮日」の名を冠した原発ツアーやそのツア
ー募集広告及び記事を装った感想文・同行記広告も、同様の原発推進広告と受け取れます。これらは
読者をあざむき、一方的に偏った九州電力の原発推進情報の垂れ流しと言わざるをえません。
 今回のことを機に、報道の原点に立ち返り社会的使命を果たされることを貴社に望みます。

                                                                  1998年11月16日

  小丸川の水を考える会(高鍋町)
  原発いらん・みやざき(宮崎市)
  原発反対市民ネット・日南(日南市)
  いまならまにあう住民の声(日南市)
  綾の自然と文化を考える会(綾町)
  原発を考える都城市民の会(都城市)
  くしま21(串間市)
  幸島自然苑(串間市)
  他有志

〈連絡先〉〒889-2311 宮崎県日南市大字伊比井298-1

     電話0987-29-1641
     宝蔵俊二


 情けない新聞社である。用いた資料は電力会社からの提供資料のみ。取材と言う行為を何と心得ているのだろう?反対意見があるこういう重要な問題に関して一方的な資料のみを使って書くと言う情けない事をやっていると言うのはジャーナリストとして最低である!裏を取ると言うのは当たり前の事だろう。宣伝に使われていると言って良い。

横書きの発表文をそのまま縦書きにして印刷して新聞だと称している新聞の現状を良く表している。こんなマスコミを県紙として持たねばならない県民は馬鹿になって当たり前だ。批判精神と言うものが育つ訳が無い。こんな洗脳装置のような新聞は無い方が良いかもしれない・・・。

この新聞社の中にもまともな記者はいることは知っているが、これは明らかにその記者の仕事自体を馬鹿にしているとしか思えない。日々営々と現場で取材に当たっている記者の苦労を知っているだけに悲しい出来事である。

 


※1999年4月20日部分的に最終加筆