2001/12/15

●「新市場拡大措置検討小委員会報告書(案)」 に関してのパブリックコメント

以下は経済産業省の●「新市場拡大措置検討小委員会報告書(案)」http://www.meti.go.jp/feedback/data/i11122aj.html に関してのパブリックコメントである。提出期限の最終日に電子メールにて提出した。


様式1

     1.氏名 中川修治

     2.連絡先
        住  所 〒 ●●●
        

        電話番号  ■■■
        FAX番号   同上

     3.職業/所属団体

         太陽光・風力発電トラスト

      
   
様式2

      氏名 中川修治
 

     (御意見・御要望該当箇所)

       報告書(案) 全般に亘って

     (意見の概要)80字以内で掲載

     実績のないRPSを実績のある固定価格買い取り方式と対比において費用の安さを特筆し優位であるとする点について
     疑問を呈する。

     (意見及び理由)

今回の良いと結論するRPSにおいては単にKWH当りの平準化した価値のみ=CO2排出量の多寡のみが評価の基準となっているようだが、実際には発電原価はそうであっても時間帯によってつまりマーケットの特性によってその価格は決定されねばならない。それこそが真に評価されるべきマーケットメカニズムである。

それが実際に目に見える形になったのがカリフォルニアの例である。実際に電気エネルギーの価格が高騰したカリフォルニアの例でみれば逼迫する時間帯においてエネルギー価格は異常に高騰したのである。

一方、余っている時間帯では逆の事が起こりうる。つまり、使うときに作らねばならない電気エネルギーは必要以上に供給され得る状態では発電原価以下になる事は十分に考えられる。

イギリスで実際に行われた電力の入札で原子力の電気はゼロ入札を余儀なくされる事態が起こっている。不用な電気には価格はつかないのだ。

つまり、重要な点はマーケットでの取り引きでは不安定な風力には競争力はないといって良い。さらに不安定という点だけを云いするならば太陽光発電はさらに競争力はないように見える。

しかし、風力に関してはその発電量の分だけ化石燃料の消費が減ると言う点から見て派生CO2の減量分だけの価値はある。それ故、RPS制度の証書には有効性を認められる。

また、太陽光発電に関してはその特性上社会的なピーク対応と言う点から見て単なるCO2削減効果以上の価値を持つ事を認めるべきである。これは電力企業の設備稼働率の低下による損失を補填しているにも関わらず、その点が十分に評価されていない点を考慮すべきであって単にCO2排出削減分のみを対象とするのは間違っている。

問題は実際に必要である電力がリーズナブルな価格でどう社会に供給されるかである。その為にはまずそうした電源発生装置に資本が固定化される必要があるということである。つまり、そこに社会全体としての利益を求める資金が流れ込むかである。

この点では金融的な手法をもってコストを削減するに効率的であると思われるRPSを導入したい気持ちは分からないでもない。

が、それは実に不安定な手法であるといえる。実際に洗練されたとみられる金融的な手法でエネルギー取り引きを実行したエンロンという企業が破綻をきたしている。

こうした手法は実に不安定要因を持っていると言える。むしろ、買い取り価格が保証される事でそこに十分な資金が供給されるほうが将来において十分な発電設備の設置を可能とするだろう。

これは欧州各国での実績をみれば十分に分かる事である。

現時点で言われる自由化でこの国の一般の消費者が望んでいるのは、誰かがそこに資本を投入し損をしてもそれはそのプレーヤーの責任であるという事を望んでいるのではない。

独占状態でその設備購入に当っても競争の働かない大きな設備に過剰な投資をして真の市場=消費の面での評価すら受け付けることが出来ない状態になってしまった事が問題であると言うことである。

過剰投資にもならずリーズナブルなコストで環境負荷のない電源が設置される事を望んでいるのである。また、制度は公正で公平である事を望んでるのであって人の善意を買い叩く制度を望んでいるのではない。

RPSは或る意味、近代経済学の領域でも問題となっている未来の予測までをその中に取り込もうと言う試みである。期待値までを取り込もうとする実に野心的な試みであることは認める。

しかし、電源設備に資本が固定化されるその期待値に届かない場合は極端に言えばカリフォルニアのような事態すら起こりうるだろう。

今求められているのはそう言う事ではない。安定的に環境負荷のない電源に資本が固定化される事であり、こうした電源に資本を投入するに当ってのリスクを如何に低減するかである。

そうせねば短期的な資金回収の不可能な電源設備への資本の固定化は為されないであろう。先ずは安定的な実績のある買い取り価格支持制度を実行し、その問題点を解決するほうが実績をあげうると考えられる。

むしろ現時点のようなデフレ状態でかつ、金余りの状態にあるならその資金を長期的に生産装置に固定化するほうが金融面から見ても安全である。(その固定化された資金は必ず新たなエネルギーの生産に担保されているのだから・・・)デフレ状態は実は資金があっても有効な資金の流れ込み先が無い為に消費水準が落ち込んでいるに過ぎない。

RPS施行時に補完措置として電力の余剰電力購入メニューをあげているが、これは電力の側のボランタリーな制度であり、長期的な投資に対する保障措置としてこうした制度に依存する事は一企業の経営上問題を生じる虞すらあるという点を指摘しておく。

また、配送電線に接続された発電設備から派生する電力は現時点では設備の所有の関係から余剰電力とみなされるがそれ自体は社会全体から見れば余剰と見なすべきではない。その発電設備は社会全体の電力供給の一端を担っている発電設備とみなされるべきである。また、その派生電力は全ての電力需要の一部を担っていると認識されねばならない。その点から制度の対象と成るべき発電設備はすべてを網羅すべきで法案施行以降というのは間違っている言わざるを得ない。

電力企業による自主的な買い取り制度自体が電力企業の経済的な負担によって行われるならば自由化の中で競争すべき企業の健全性が失われるおそれがある。こうした観点からむしろ、電力企業にこうした自主的な高額での買取をボランタリーに強いる制度自体が問題であるので早急に改善すべきである。

その為には電力の送電、配電、発電のそれぞれの分野におけるコストを明確にする必要がある。こうした情報開示は必要不可欠であることも言い添えておく。

さらに別の補完措置としての補助金制度の活用をあげているが、既にこの補助金制度については家庭用太陽光発電の例で見れば年度ごとの設置者の負担の不公平(購入負担が初年度設置者の負担を既に補助金を受給せずとも今年度の設置者の負担はそれ以下に下がっているにも関わらず補助金の支出を行わねばマーケットが成立しない状況)と不公正(補助金の不正受給)、さらには補助金の予算総額によるマーケットの縮小(近くは昨年度、過去にはCOP3開催年度の1997年度とその次の1998年度以外の年度全てに起こっている)また補助金予算の未執行(今年度と1997年度、1998年度の両年)など問題が多いことは明らかである。

風力においても太陽光においても他の電源に関しても導入普及の段階での設置時補助制度はむしろ問題を複雑にし、価格の下方硬直性を生み出す原因になっている事が多い事は明きらかである。目的は環境負荷の無い電気という財を生み出す事であり、太陽光発電設備や風力発電機を買うことではない。

こうした問題を抱える補助金制度自体の欠点の変更を行わずにさらに実績の無いRPSの導入を図る事自体が失敗に屋上屋を重ね不公正と不公平を助長し自然エネルギーの普及に不確実性を増すことに繋がると思われる。

RPS制度自体はその派生電力に付随するCO2の削減量をもって計るという点では補助金制度よりはマシではある。しかし、その電力という財自体のもつ特殊性から見て時間軸を考慮していない点から見て不公正である。

こうした長期的に固定化される資本が求めているのは一時的な高利益ではなく安定的な収益である。短期的な投機資金ではない。配当性向から考えれば相対的に高くはない電力株への投資が行われたのはその高い収益率に向けて資金が流れ込んだわけではなくその設備の持つ価値が担保とされた総体的な評価であったことを忘れてはならない。

それを支えたのは支持価格制度と言っても良い独占企業であり競争の働かない電力企業への総括原価方式である。

今、RPSと比べられる価格支持制度ではそれによって価格の下方硬直性を危惧されているが、それぞれの発電分野別に設置時期に応じての平均価格のコストのみを保証する事とする条件をつけておけばそれぞれの発電事業者はその時点で最も効率的で安価なものを選択するので十分に競争は働くと考えられる。それこそが真のマーケットメカニズムの利用である。RPS制度では時間軸の不公平さを解決する事は不可能である。この報告書(案)ではその点における言及が無い事を指
摘しておく。

価格支持制度のデザインに関してはドイツの固定価格買い取り価格支持制度の原案となったアーヘン市のモデルを検討すべきである。年度ごとの支持価格の見直しがそのコストを正確に反映しないと考えられるならその見直しは四半期毎に調査しても問題はないと思われる。むしろ煩雑な補助金の需給に関する書類の審査に掛ける費用を勘案すればマーケットにおける価格調査のほうが費用ははるかに少なくて済む。

現時点での書類審査に掛ける費用は予算のうちに組み込まれているが同等以上の費用が申請側にも掛っている事を忘れてはならない。

また、支持価格制を採用すればで市場のサイズを限定する事もなく資本を呼び込むことも可能となる。

そもそも自然エネルギーの普及の置いて目標値を達成すれば問題は解決すると言う発想が問題である。それは最低限の値であってそれを超えるから問題が起こるというものではないことを銘記すべきである。

付記しておくが報告書(案)ではグリーン電力制度をボランタリーな制度として大きく評価しているが、これは間違っている。何故なら、こうしたボランタリーな制度自体は電力の使用者全員がその使用量において本来負担すべきコストを一部の善意もしくはそれを他とのコマーシャルな優位性の確保の為のコストとして負担させているに過ぎないからである。

こうしたボランタリーな資金は、こうした負担のの不均衡是正に使われるべきではなく本来、発電設備それ自体に形を変え、さらにそれを促進するものとしてデザインされるべきである。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

※以上を今回パブリックコメントとして提出させていただきます。さらに、これが単に聞き置くと言う形で形式上のものとされない為の担保措置としてこれらのパブリックコメントを全てWEB上に公開する事が必要だと思われます。

また、この内容に関しては当方のHP上にも公開させていただく事といたします。