1999/01/09

太陽電池は生産財!なんだよね

良く聞かれるのは太陽電池は元を取れるかと言う質問である。

取れるとも言えるし、取れないとも言える。

よく言われるのは自動車を買うよりよっぽど良い事だと言う事だ。確かにそうだ。投入エネルギーを全て食い潰す自動車なんてモノと比較すれば確かにそうだ。しかし、この比較は元々意味を成さない。

その理由は、目的がそもそも全く違っているからだ。太陽光発電を買っても移動は出来ない。「FUN TO DRIVE」なんて事は絶対に無い! 太陽光発電は電気しか起こせないのだ。 

これは自動車は消費財であって生産財ではないと言う事だ。この事は非常に重要な事だ。そして、太陽電池は一般的な消費財ではなく真の生産財だと言う事だ。太陽電池は電気を作る事しか出来なのだ。他には何の役にも立たない。 こんなモノを屋根の上にくっつけて喜んでいる奴の気が知れない(かく言う僕もその一人だけど・・・・)

では、電気=エネルギーを作ると言う観点から考えてみよう。
 
物理学的に投入エネルギーと産出エネルギーの比から考えれば元は十分に元は取れる。(本当は、エネルギー資源として考えるんだからこうした視点が必要なんだ)

しかし、再生コストを考慮に入れない化石燃料との比較では現状で、絶対に元は取れないだろう。で、化石燃料は食い潰しても良いと言う前提に立つ経済の枠組みでは、この事から経済的に元は取れないと断言しておこう。非常に残念な事だけどね。

つまり、太陽電池で作る電気は現状では高い!高すぎるのだ・・・。代わりになる電気は電力会社から送られてくるのだ。だったら普通に考えればだれが馬鹿高い太陽電池の電気をわざわざ選択するものか・・・。と言う事になる。

比較すべき電源、それは火力発電や原子力発電なのだが、火力発電のCO2の廃棄コストは自分で支払う必要は無いし、この化石燃料の再生コストも支払っていない。原発のリスクも核廃棄物のコストもその利用者の目から隠されている。それは本来、メリットを受ける人が追うべきコストだが、それは社会的なコストとして本来負担すべきでない人たちに負わされているのだ。
 
この事は企業の人も良く知っているのだが、大きな声で言えない。何故なら電力の系統への接続が出来なくなれば誰も太陽電池=太陽光発電装置 を買わなくなると言う事を良く知っているからだ。電力が配電網まで押さえてしまっているから言えないのだ。もし、これが発電会社と配電会社が別だったら・・・?如何に理不尽だろうが、お客が犠牲者になっていようが、それは言えない事なのだ。

状況は全く変わってくるよね。

 
 



エネルギー・ペイバック・タイムってのは、その機器を作るのに投入したエネルギーを壊れるまでに取り返せるかと言うことなんだけど・・・。
 
例えば、太陽電池を作るのに、仮に化石エネルギーを10単位、使っても、壊れてしまうまでに、太陽エネルギーを10以上、変換出来なければ、初めから化石エネルギーを10喰つぶしたほうが良いということになるよね。
 
【1997年当時の試算値】
 
で、一昔前は、このペイバック・タイムが太陽電池だけで10年とか、8年とか言われていたが、最近の研究結果では、3kWの標準家庭用太陽光発電装置で、年産10メガワットの規模で、設置に関わるエネルギーや周辺機器も含めて、結晶系で8.2年、アモルファスで3.5年。年産100メガワットの規模では結晶系太陽電池でも4.3年、アモルファス系で2.9年と試算されている。(但し、現時点の国の補助金の枠組みではこの生産量は確保出来ないから、まだ、価格が高い!)

結晶系太陽電池について、聞いたところでは、機器の耐用年数は少なくとも20年、メインテナンスがしっかりしていて、設置場所の状況が良ければ25〜30年は持つと言うことであるから、一度、太陽電池を作ってしまえば、それを元手にサステイナブルナ(持続可能)な、エネルギー源を確保して、やっていけることになる。

これは、もう既に国や電力会社が推進する原発や、高速増殖炉と比較すると明らかにエネルギー源としての優位性があることははっきりしている。(使った以上の燃料を生み出すとされる高速増殖炉の増殖率はたったの1.1である。これは、殆ど増えないのと同じで、それに伴う放射性廃棄物の事を考えるなら、こんな危険なものに手を出す奴は馬鹿としか思えない!)

減らないから、いいだろうって言うかもしれないけれど、もし、壊れたりしたら、(壊れない保障はない!実際に壊れたら、もんじゅは壊れた)それ以上に、高くつくだろう。(1999年1月現在でも一月2億円の電気代を使っている)それでも、・・・・やる?これは、合理的に考えると言うことでなく、殆ど、宗教だね。

ある人から聞いた話しだけど原発推進派が「君たちは科学を信じないのか!」と言ったそうな。その人曰く、「科学は信じるものでなく、疑うことから始まるっておもってたんだけどな〜〜」って・・・。本当にあった笑い話。でも、よ〜〜く考えるとぞっとする話だな。

一体、それでもあなたは、国や電力会社の言うように「原発や高速増殖炉が必要なんだ」と考えるだろうか?これは、まさにハイリスク・ローリターンなのだが・・・。