1997年10月20日滋賀県に提案しました。


滋賀県知事 稲葉 稔 殿

きれいな電気供給事業者連合会から

滋賀県と(発電所が設置された町)への 提案

この12月に京都で、我々人類の未来にとって、今世紀中で最も重要な会議とも言えるCOP3(気候変動枠組み条約第三回締約国会議)が開かれます。この事の意味は、これ迄、無責任に化石燃料を使う我々の文明の在り方を変えねばならないという事です。化石燃料によるエネルギー供給では、その廃棄物として出て来るCO2の捨て場が無いという事なのです。確かに多くの人はその事に気付いています。しかし、今の制度の中ではどのようにすれば良いのかも分かっていないのが現状です。また、多くの人はその事の無力感から未来に希望を失っています。

我々、市民共同発電所プロジェクト=きれいな電気供給事業者連合会(いしべに市民共同発電所をつくる会、大地に市民共同発電所をつくる会)は、これまでの様な化石燃料や放射能を出す原子力に頼らない新しいエネルギー供給をすすめようと、それぞれが、滋賀県内でこれまでに2個所(石部町、安曇川町)に市民の共同出資による太陽光発電設備を設置しました。

我々は、こうした事業をその地域のエネルギー自給率を高め、地域の自立に貢献するものと考えます。しかし、現在、この事業は参加された方々の損を承知での出資によってなりたっています。これはおかしな話で、その電気が社会的に供給されると考え、社会全体が支えるシステムが必要だと考えます。そして、我々は、こうした住民が主人公となった市民事業は地域の住民の生活をサポートする県が支えるべきだと考え、その為の方策を採る事を求めます。

他府県の動向

設置に関わる初期費用=イニシャルコストの一部負担して設置者の負担の軽減を図ろうと他府県の自治体では国の補助金とは別に独自の補助金を出す所も出ています。また、其の資金の利子補給を行って負担を軽くする方策を取る所も有るようです。しかし、この方法も、今後、太陽光発電が普及して電力会社による買い上げ価格が下がってしまえば設置者にその負担を押し付ける結果になり兼ねません。

滋賀県の取るべき方策

そこで、われわれは、こうした事業が(あえて、事業とします。本来、こうした事業こそが公正に扱われるべきだと考えるからです)社会に広がっていく為には以下のような方策を自治体が採って行くべきだと考えます。

1. イニシャルコストを負担する補助金ではなく、発生電力量を正当に評価する方策を採ることを求めます。われわれの作った発電所は一義的にはその設置者に供給されますが、逆潮流によってこれは社会的に供給されているということです。よって、これは、本来、社会全体が公的に支えるべきだ考えます。

2. ここで供給される電気エネルギーは、これまで、人類が手にすることの出来なかった環境負荷の無いまったく新しいエネルギーであってそれを系統連携発電によって社会に供給しているという点を分かって頂かなくてはなりません。しかし、供給されるクリーンな電気エネルギーは一般の消費者の観点から見ればこれまでの電力供給の仕組みによって供給される電気とは全く変わらないものなので、その点を、その様に評価するかが問われていると言う事です。また、この発電所から供給される電気エネルギーは社会的に長期的に評価されるべきだと考えます。

3. また、その発生装置自体の購入にもおいても一般の消費材とは違う観点から評価されるべきだと考え、消費税の減免があって然るべきと考えます。現状ではこの発電所の設置に関してはこれ迄の消費材と同じく消費税が掛かっていますがそれを免除すべきと考えます。(徴税権は県や市町村に現在の所有りませんから、それを止める様に国に要望する事をもとめます)

4. われわれは、ここで起こされ供給される電気エネルギーは、その地域が自立することに繋がるエネルギーだと考えています。ですから、ここで消費される電気に関して徴収される税金は各自治体(県も含む)がそれを管理すべきだと考えます。そして、それをこうしたクリーンエネルギーの普及に資する方策にもちいるべきです。

5. 具体的には、環境先進国ドイツの自治体が取り組んでいるレート=インセンティブによる補償措置(所謂、アーヘンモデル※添付資料参照)が適切だと考えます。つまり、発生電力量を継続的かつ社会的に評価するシステムが必要だということです。確かに余分なコストが掛かるように見えます。しかし、それは社会が環境に対してこれまで支払ってこなかったコストを支払うと考えるべきなのです。

6. これによって出資者に還元される資金というのは、今後、その装置の価格低下によって設置者が被る不利益を補償するもので、発生電力を自治体が補償するというものでなくてはなりません。

7. 何故、電力会社でないかというとこれは先にも述べているように、それぞれの自立を求める地域の問題として考えられなければならないからです。

8. この事業は社会の根幹を支えるエネルギー供給を自ら行うと言うという画期的な取り組みです。それは使う人以外の誰かが考えるというモノでは決して無いとわれわれは考えています。特に、これまでエネルギー問題は国の問題として自治体は真剣に取り組んできていません。しかし、社会の根幹を支えるエネルギーの問題を国の問題と考えている限り、地域の自立は無いと考えるべきでしょう。 以上述べてきた観点から、われわれは、最も住民に近い地方自治体こそが、これからはこうした社会のエネルギー供給のインフラストラクチャー整備を行う必要があると考え、これを正当に評価するシステムの実務を引きうけるべきだと考えます。

さらに今後、上に述べた観点からも県の行う事業においては、今後、以下の様な方策を進めることを提言します。

1. 地域独自のエネルギー自給策を講じること

2. その事業策定にあたっては市民参加の方向性を明確にすること

3. 次世代を担うこどもたちにエネルギー問題の重要性を伝える為に幼稚園、保育園、学校、等の施設に太陽光発電装置を設置すること

4. 公共施設の屋根に設置してその効用をアピールすること。

特に学校や老人ホームのような地域にあって公共的な建物は、災害時の避難場所として非常用の電源は必要です。こうした所にバッテリーを併設し災害時に備える事は県民の生活を守る地方自治体の重要な仕事と考えます。また、次世代を担うこどもたちに学ぶ機会を提供する事でしょう。さらに、これを設置する事で財政上の後年度負担を軽減する効果も有ると言う事を忘れてはなりません。

また、産業政策上から考えても、現在、日本で最大の太陽電池生産県=滋賀県がこうした方策をとれば、現在では、化石燃料と競争力の無い新エネルギー産業を育てることが出来るでしょう。そして、こうした方策をとることこそが環境先進県を標榜する滋賀県が出来る事ではないでしょうか?

これまで、エネルギー政策は国の責任と考えられてきました。しかし、それは本来、我々自身が考えるべき問題だと考えています。そして我々の提案するこのプロジェクトはその解決に繋がる方策の一つなのです。

我々と同じような発電所を作りたいと言う声は、滋賀県内でも浅井町、米原町、八日市市、信楽町など多くのところで聞かれます。また、実際に、作ってみたいのだがどのようにすれば良いのかと言う問い合わせが全国から来ています。しかし、現状で損を承知で設置に踏み切れないでいるのが現状です。我々が、提案する新しい支援策が実行されれば県内で多くのミニ発電所が住民の手で作られる事でしょう。また、滋賀県でこうした発電設備に対する我々の提案する支援策をつくれば、全国に先駆けた先進的なモデルとして評価される事でしょう。

前例が無いからこそ自らの力で作っていかねばなりません。そうした取り組みをする事こそが次世代に引き継げる滋賀県のあたらしい在り方に繋がっていくものと思います。

生きているそれぞれの住民にもっとも近い自治体レベルでの取り組みこそが求められるのです。我々のプロジェクトに賛同して同じような発電所を作ろうと市民と共に行動される事を願ってやみません。

1997年10月20日

きれいな電気供給事業者連合会     

いしべに市民共同発電所をつくる会

大 地 に市民共同発電所をつくる会