1998/06/19UP

急速に増加する世界の風力発電 
 
ー1997年末で700万kWを越えるー
和田 武(立命館大学)      
 いま世界の風力発電が急速に増えている。世界の発電容量は1年間で130万kWの伸び(伸び率22%)を示し、1997年末で718万kWに達した。とくにヨーロッパ各国、インド、中国の伸びが著しい。ドイツが1年間で40万kW近い増加によって194万kWに達し、1万kWの増加でやや停滞気味のアメリカの160万kWを抜きさり、断然トップに立った。第3位のデンマークも着実に20万kW増加して、ついに100万kWを越し106万kWに達した。第4位はインドの85万kW,以下、スペイン、オランダ、イギリス、中国、スウェーデン、イタリアまでがベストテンで、40ー10万kWである。この中で中国の伸びが目覚ましく、1996年末の8万kWから1年間で17万kWに倍増した。

 まだ発電コストでは、火力等に比べてやや高いが、ほとんど肩を並べるところまできており、ドイツやデンマークでは売電により、数年で出資額を取り戻せるまでになっている。制度的に市民が風力発電機を所有しやすいこれらの国では、その所有者が非常に多い。市民所有制度を導入すれば、利潤目的の企業所有と異なり、多くの市民が参加し、風力発電を大幅に増加させる条件ができている。地域住民の所有を優遇するデンマークでは、国内の風力発電機の80%(容量比)を住民が所有しており、所有者は10万人以上にのぼるほどで、このことが風力発電が急成長している背景にあるのである。ドイツでも半分は市民所有である。また、デンマークやドイツでは風力機産業が急成長し、雇用も増大している。環境保全政策を推進すれば、将来性のある産業が成長し、新たな雇用を生み出す実例である。
 
 日本でも、最近になって風力発電が増加してはいるが、まだ2万kW程度である。日本にも風力資源は豊富に存在する。原子力優遇政策をやめ、風力発電、太陽光発電、小水力発電、バイオマスのエネルギー利用などの再生可能エネルギー優遇政策に転換することが、日本の技術を生かし、経済発展と国際貢献を可能にする重要な選択である。そのためにも、日本に於ける再生可能エネルギー生産手段の市民所有を推進することがますます重要になっている。
 
(参考:”Wind Power Monthly”の最近号。林、和田ら「地球温暖化を防止するエネルギー戦略」実教出版、和田「新・地球環境論」創元社など) 
 


 記事中に、中国の風力発電の記述があるが、最近旅行をした中国・大連市の近くに、大きな風力発電基地が有るらしい。ただ、中国側の許可が出ず残念な事に見る事は出来なかった。聞くところに依ればかなり大きな施設らしい。で、ドイツのメーカーの風力発電機が当初導入されたらしいが、最近、入ったものはデンマークのミーコン社のモノとの話である。

また、発電コストに関しては既に5円を達成したとの情報もある。ただ、何回も言うように既存の電力企業にとっては、彼らの必要を無視してこうした不安定な電源が系統に連携されるのは迷惑といったところらしい。

市民所有による風力発電への試みは日本でも始まろうとしている。しかし、まだ、構想段階であり、電力の出す高いハードルの前に立ち往生していると言うのが現状だ。
 

バーチャル・シンクタンク“未来プランニング” 主席研究員・中川修治