以下、宮崎の串間市における市民共同発電所「ひむか3号君」プロジェクトと宮崎お日様基金、「ひむか1号君」プロジェクトの初年度決算の試算数字を出してみました。(しんどい計算じゃわ。これで理屈は合っていると思うけど、どうでしょう?)
今回のこのプロジェクトでの新たな試みは
日本版アーヘンモデルの実施と
電力のピークカット効果責任買取り価格の実現です。
※日本版アーヘンモデルについては、既に2年前から大阪のKLE−P1「ひだまり1号」くんプロジェクト、湖国21世紀記念事業「びわこお陽様」基金(1年限りだったので、それを発展させて「びわこお陽様基金」が引き継いでいます)がやせ我慢をしながら、公平で公正な公的資金の使い方を提示しています。
アーヘンモデルとはドイツのアーヘン市で始められた設置時補助金とは異なる自然エネルギー支援方式です。別名フルコストペイバック方式・レートインセンティブモデルとも言われているものです。
これは設置に関わる総費用(金利を含む)を一定期間(20年)で回収することの出来る価格で電力企業が買い取るもので、電力企業はその割高の分は消費者に転嫁しますから、電気の消費者全員で支えるというものです。(アーヘンの場合は電力企業がアーヘン市電力公社という公共事業体でしたのでアーヘン市の市議会で通した条例案でこれを実施しました)
日本では電力企業は環境負荷のない電気をCO2と放射性廃棄物を出しながら作っている電気と同額でしか買い取りませんので、これを実現するために、私どもはそれぞれの発電原価との差額分を公的資金=皆さんが支払った電力料金に上乗せされている電源開発促進税から出すのが妥当であると主張し、一過性の設置時補助金を組み替えてこうした発電原価保証策に変更するように求めてきました。
※設置時補助のもつ様々な欠点は別のファイルでご紹介しているのでそちらを参考に読んで下さい。
しかし、日本では何故か?この問題の多いい補助金がまだ主流であってそのスキームの変更は為されていません。
そこで、関西で行われている日本版アーヘンモデルではKLESプロジェクトでは国からの設置時補助金と同額をプロジェクトから基金として拠出しそこから発電原価保証分を毎年、出資会員に還元しています。また、滋賀の「お陽さま基金」は1年目は滋賀県が市民事業に出した資金を原資に、さらに2年目以降はこの基金に賛同するプロジェクトが受けた公的資金のうち国からの設置時補助金を基金に拠出しそこからそれぞれの発電プロジェクトに差額を支援しています。
今回、九州・宮崎での新たなプロジェクトでは、国からの補助金だけではなく、電力会社が出した補助金も受給しましたのでこれを理論的な整合性を考えて使うことにしました。
電力企業側は太陽光発電はお天気任せで不安定であって質の悪い電力だといっていますが、太陽光発電の電力は夏場のピークカット効果の大きいことが知られています。実は電力企業にとっては夏場のピークはエアコン需要などで一時期しか使わない余剰の発電設備を持たねばならないために抑えたくてしょうがないものなのです。その証拠にエコアイスなどという夜間に氷を作らせ電力を使うものを電気代を安く設定して売りつけています。
そこで私たちは、このピークカット効果を勘案し、電力企業の太陽光発電からの買い取り価格を50円と設定することにしました。
それぞれの発電原価からの買い取り価格と50円との差額分を電力企業からの出された補助金を原資とする基金から支援し、さらにそこからそれぞれの発電所の発電原価との差額分を国から出された資金から補填することで公平で公正な支援策を提示することとしました。以下は、そうした考え方に基づいて計算したここ1年間の決算数字です。
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ひむか3号君 初年度決算数字 2001年7月運転開始
総出力 3.75KW
7月15日から翌年8月31日まで
総発電量 4360KWh 売電 10万9000円(25円/KWh)
売電料金は電力企業への売電価格から逆算。設置場所提供者の山下芳数氏はこの価格での全量購入に同意。
1日平均 10.9KWh
年平均 3978.5Kwh
設置初期費用 250万円 (66.84万円/Kw)
20年間総費用(金利4%複利)←借り入れを想定
547.8000円(250万円 ×1.04の20乗)
20年間予測総発電量 79570Kwh
試算発電原価 68.8円
※現時点での電力への売電価格 25円/Kwh
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ひむか1号くん 1994年8月 運転開始
総出力 4.50KW
総費用 550万円 (1205万円)
100万+250万+50万+110万(インバーター)+40万
50w×20=1000 63w×50=3150 53w×10=530
20年間予測発電量 90000KWh
インバーターの調子が今一つ、一度修理に出してその後直ぐは月間450Kwhを超える発電量を記録したが、現在は月間平均220Kwhで推移している。昨年9月1日から本年8月31日までの発電量は記録されていないが、(1月以降の今年の分は分かっている)この数字を平均で見た数字で計算することとした。
今年度対象発電量 220Kwh×12= 2640Kwh
この年度の発電原価は公式数字では225円だが、このプロジェクトではぎりぎりの数字として掛かった費用で計算すると133円ほどとなった。安易に補助金に頼らないという事で調べに調べてさらに交渉して出した価格である。この数字には設備設置費用等は参入されていないので、これを含めるとさらに50万円ほどが掛かる計算となる。こうした点を考慮しこの発電所の発電原価を決定することとした。
約 146円 となる。
【 初期設置総費用600万円 × 1.04の20乗 】
※ 現時点での電力への売電価格 20円/Kwh
それぞれの発電所へのお日様基金からの生産奨励金の決算(案)
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ひむか3号君
68.8円×4360Kwh=29万9968円
基金の奨励金の内訳
発電原価との関係
25円/KWh 一般電力料金(設置者からの収入)
以下「みやざきお日様基金」から支出
25円/Kwh ピーク対応電力負担分
18.8円/Kwh 発電原価保証公的資金負担分
奨励金合計総額 19万0968円
29万9968円に関しては出資口数25口で割ったもの 1万1998円を配当することとする。
内訳としては
一口発電量相当分 174.4Kwh ×25円 =4360円
同上ピーク対応電力負担分 (同上)×25円 =4360円
同上発電原価保証公的資金負担分(同上)×18.8円=3278円
となる。
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ひむか1号君
146円×2640Kwh=38万5440円(総収入)
126円× 同上 =33万2540円(お日様基金から支出)
発電原価との関係
20円/Kwh 一般電力料金収入分(設置者からの収入)の52800円分は設置時の約束により三戸サツエさんの事務所への寄付金(インバーター 負担分)として処理されている。よってお日様基金からの支出は
30円/Kwh ピーク電力対応電力負担分
96円/KWh 発電原価保証公的資金負担分
以上の宮崎お日様基金からの奨励金の使途に関しては、は設置者三戸サツエさんと8月30日に協議。この奨励金分は現在、ひむか3号君が借り入れている資金のからの3口数の出資金として使うこととさせていただくことに決定した。
■今年度の宮崎お日様基金からの支出分■
電力ピーク責任分 公的資金分
33万2540円(ひむか1号分) 7万9200円 25万3340円
19万0968円(ひむか3号分) 10万9000円 8万1963円
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合計 52万3508円
宮崎お日様金内訳
初期原資 今年度支払い 次年度繰越残額
電力分 44万2800円−18万8200円=25万4600円
公的資金分 45万円 −33万5303円=11万4697円
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山下芳数さんへの請求金額に関して
現時点で宮崎お日様基金は全額、設置者の山下芳数氏への無利子貸し付け金となっているので、この今年度支払い分52万3508円の支払いをお願いしました。また、これとは別に10万9000円の売電料金の支払いもお願いしました。
以上が昨年からこの8月31日までの決算としました。それぞれの出資会員には出来る限り速やかにこの決算に基づいたきれいな電気の配当金を支払うこととしたい。
【きれいな電気が汚い電気と同じ値段は、やっぱ、おかしいでしょ・・・】
『太陽光発電』って?
それは、個人の屋根の上にあっても牛小屋の屋根にあっても、
社会のピーク電力供給をささえる屋根の上の クラインガルテン 〜
「市民共同発電所」てのは、市民が直接、お金を出す
ほんまもんのあるべき「公共事業」です。